香港政府、第5弾となる経済対策「防疫抗疫基金」を発表

(香港)

香港発

2022年01月18日

香港政府は1月14日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い経済的な影響が出ている業界を支援するため、経済対策「防疫抗疫基金」第5弾を発表した。香港ではオミクロン変異株の市中感染が広がり、感染拡大第5波(注)が到来したとされるが、政府は1月7日から午後6時以降の店舗内における飲食を禁止するなど各種規制を強化しており(2022年1月6日記事参照)、直接影響を受ける飲食店などや海外との往来制限により長期間影響を受けている旅行業界などに向けて、迅速な支援措置を講じた。

総額は、35億7,200万香港ドル(約536億円、1香港ドル=約15円)で、前回第4弾の約64億香港ドル(2020年12月21日記事参照)に比べ半額程度となっている。香港政府トップの林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は同日の記者会見において、1月7日の規制強化から1週間での支援措置発表は史上最速とし、1月17日から申請を受け付け、2月1日から始まる旧正月前後には交付したいとの考えを示した。

発表された「防疫抗疫基金」のうち主要なものは以下のとおり。詳細は添付資料表参照。

  1. 飲食店(17億6,100万香港ドル):店舗面積に応じ、5万~25万香港ドルの一時金を支給。
  2. 美容関連施設(ネイルサロン、エステなど)、マッサージ店など(3億1,800万香港ドル):従業員数に応じ、1万5,000~5万香港ドルの一時金を支給。チェーン店については最大150万香港ドルを支給。
  3. 旅行業関連(2億7,100万香港ドル): 旅行代理店向けに一時金5万香港ドル、旅行代理店スタッフに一時金7,500香港ドル支給など。

香港餐飲聯業協会(香港レストラン業協会)の黄家和会長は「(今回の金額規模では)支援は限定的だ」との認識を示し、「飲食店にとって、給料、賃料、食材費は3つの喫緊の課題だ。不動産オーナーが賃料を下げるほか、支払いの猶予や免除といった支援を提供するとともに、政府には保就業計画(給料補助金)や融資返済の半年繰り延べを含む、政府100%担保融資の再実施も希望する」とコメントした(「経済日報」1月15日・16日版)。

(注)香港では一般的に、2020年1月の新型コロナウイルス感染拡大開始を「第1波」、同年3月中旬以降の輸入症例拡大を「第2波」、同年7月中旬以降および11月下旬以降の域内感染拡大をそれぞれ「第3波」「第4波」と呼んでいる。

(渕田裕介)

(香港)

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