世界銀行、アフリカの経済見通し発表、2022年成長率を3.6%に上方修正

(アフリカ)

中東アフリカ課

2022年01月21日

世界銀行は1月11日、「世界経済見通し外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表し、サブサハラ・アフリカ(以下、アフリカ)の2022年、2023年の実質GDP成長率をそれぞれ3.6%、3.8%と予測した。前回発表の予測(2021年6月15日記事参照)から、2022年は0.3ポイント上方修正、2023年は据え置きした。2021年の成長率(推定)については3.5%と、前回発表から0.7ポイント引き上げた(添付資料表参照)。

世界銀行は、アフリカ経済が徐々に回復に向かうとしており、その背景として、中国や欧米諸国といった主要貿易相手国の経済状況の回復や、コモディティー価格の上昇、観光産業の回復を挙げている。もっとも、新型コロナウイルスワクチン接種の遅れから感染拡大の影響を受けるほか、度重なる紛争や貧困、食糧危機、インフラや鉱業への投資の遅れなどがアフリカの経済回復を遅らせると指摘する。また、世界経済の回復が鈍化する場合、コモディティー価格の下落を引き起こし、石油や鉱物といった資源に依存する国に打撃を与え得るとしている。

経済規模の大きい国に目を向けると、南アフリカ共和国の経済成長率が、2022年に2.1%、2023年に1.5%と、新型コロナ禍前の水準に戻ると予測する。アフリカ域内では、比較的ワクチン接種の普及が進んでいることから、観光を含むサービス部門の回復を見込んでいる。個人消費と投資についても、新型コロナ対策による各種規制や社会不安から回復し、堅調に推移すると予測する。しかし、政府債務の増加や公共支出の抑制が今後の経済成長の足かせになり得ると指摘している。

ナイジェリアは2022年に2.5%、2023年に2.8%と、それぞれ上方修正となった。OPECによる石油増産や油価上昇に加え、サービス部門でも電気通信や金融サービスが堅調に推移するとしている。その一方で、所得と雇用回復は遅く、食料品価格の高騰についても改善するめどが立っていないなど、内需の回復が見込めないほか、ワクチン接種率の低さが経済の回復に影響を与えると指摘している。

それ以外では、エチオピアが2022年に4.3%、2023年に6.5%、ケニアが2022年に4.7%、2023年に5.1%と予測する。これらの国が域内で比較的高い成長率が見込まれる背景として、コーヒーや綿花といった農産品価格の高騰などを挙げている。とはいえ、エチオピアについては、民族間の武力紛争の長期化によって農業生産が制約される可能性があることを指摘している。世界銀行はまた、コモディティー価格の上昇などによって、モザンビークが2022年に5.1%、2023年に9.6%の高成長を記録すると見込んでいる。

(梶原大夢)

(アフリカ)

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