世界銀行、2021年のサブサハラ・アフリカの経済見通しを上方修正

(南アフリカ共和国、アフリカ)

ヨハネスブルク発

2021年06月15日

世界銀行は6月8日に発表した「世界経済見通し外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」(2021年6月9日記事参照)で、2021年のサブサハラ・アフリカ地域(以下、サブサハラ)の実質GDP経済成長率見通しを2.8%とし、2021年1月の見通し(2021年1月12日記事参照)から0.1ポイント上方修正した。世界銀行は2020年の成長率も1月の発表より0.9ポイント高いマイナス2.8%としたが、2022年は前回発表と同じく3.3%に据え置いた。なお、IMFも4月の発表でサブサハラの2021年の見通しを3.4%に上方修正していた(2021年4月12日記事参照)。

同行は2021年のサブサハラ経済は緩やかな回復を見せるとし、その背景には世界経済の回復とそれに伴う資源価格の上昇、西・中央部アフリカ諸国の新型コロナウイルス感染拡大抑制の進展があると説明した。ただし、2020年から広がった新型コロナウイルスによる経済への影響は一部の国々の財政状況をさらに悪化させ、債務返済のリスクを高めていると指摘した。また、サブサハラでもCOVAXファシリティーの枠組みを通じたワクチン接種が始まっているが、調達・物流面での課題は接種のスピードが遅れる要因になるとの見込みを示した。

域内で経済規模の大きいナイジェリア、南アフリカ共和国、アンゴラは「部分的な回復」が既に見られるとした上で、ナイジェリアは油価上昇を背景に2021年は1.8%、2022年は2.1%まで上昇するとした。同じく産油国のアンゴラも同様に2021年は0.5%、2022年は3.3%まで上昇すると予測した。南アは2020年のマイナス7.0%から2021年は3.5%、2022年は2.1%に回復するとしながらも、財政状況の逼迫や公共投資の伸び悩みなどが今後数年間の経済成長に影響するとの見方を示した。

今回の発表で、2021年に高い成長率が予測された域内上位3カ国は、ダイヤモンド産出国のボツワナ(6.9%)、カカオ豆輸出国のコートジボワール(5.7%)、ボーキサイト生産国のギニア(5.5%)だった。下位3カ国は、政情不安が続く南スーダン(マイナス3.4%)、コンゴ共和国(マイナス0.1%)、バニラ輸出に依存するコモロ連合(0.2%)だった。

(高橋史)

(南アフリカ共和国、アフリカ)

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