中央国有企業の業績が過去最高水準に、電力不足解消への貢献を強調

(中国)

北京発

2022年01月26日

中国の国有資産監督管理委員会(国資委)の彭華崗秘書長兼報道官は、国務院新聞弁公室主催の記者会見(1月19日)で、2021年の中央国有企業(注)の営業収入が前年比19.5%増の36兆3,000億元(約653兆4,000億円、1元=約18円)、営業利益が30.3%増の2兆4,000億元、純利益が29.8%増の1兆8,000億元で、いずれも過去最高水準だったと発表した。2019年からの2年平均ではそれぞれ8.2%増、14.5%増、15.3%増だった。

中央国有企業の好業績の要因について、中国企業連合会の劉興国研究員は、減税政策や「両新一重」(新型インフラ、新型都市化、交通・水利などへの投資)政策の効果のほか、川上産業に大型中央企業・国有企業が多いことから、原材料などの価格上昇が奏功したと指摘している(「第一財経」1月19日)。

国有企業改革に向けては、2020年6月に開催された中国共産党中央全面深化改革委員会の第14回会議が「国有企業改革3年行動方案(2020~2022年)」を採択。同方案では、中央国有企業の市場競争力の強化や、イノベーション能力の改善、産業チェーンサプライチェーンの牽引役としての役割の発揮などを求めていた。彭秘書長は、2021年時点で同方案の目標の7割は達成したとして改革の成果を強調した。

彭秘書長は2021年の中央国有企業の事業活動で特筆すべき点として、(1)規模・収益の大幅な拡大と歴史的な好業績、(2)経営効率の大幅な向上、(3)研究開発投資の安定的増加、(4)中央国有企業が果たすべき政治的責任、社会的責任の自主的な履行、経済・社会発展への積極的貢献を挙げた。

(2)については、営業利益率が6.8%(前年比0.6ポイント増)、1人当たり労働生産性が69.5万元(17.5%増)、営業収入100元当たりのコストが94元(0.9元減)、2021年末時点の資産負債率が64.9%(目標は65%以下)となった点を挙げた。(3)では、研究開発費が9,045億9,000万元(前年比16.1%増)、固定資産投資(不動産を除く)が3兆2,000億元(10.1%増)となり、新エネルギー車、衛星「北斗」、電子商取引(EC)、ブロックチェーンなどの共同イノベーションプラットフォームが設立された点を挙げた。

(4)に関しては、石炭生産量や税収の大幅な増加を挙げた。中でも2021年秋季に発生した全国的な電力不足(2021年10月05日記事参照)については、発電用石炭の不足や発電所の稼働率低下などが要因とされていた。彭秘書長は中央国有企業の電力不足への対応について、石炭の増産と発電量の増加に努めた結果、中央国有企業の石炭生産量は初めて10億トンを突破したほか、発電量も2020年比10.2%増の4兆9,500億キロワット時(kWh)で全国の発電量の64.6%を占めたと、その貢献を強調した。

その上で彭秘書長は、2022年の中央国有企業の活動目標について、(1)GDP成長率を上回る利益総額と純利益額の伸び、(2)負債比率の65%以内への抑制、(3)営業収入利益率の0.1ポイント上昇、(4)労働生産性の5%向上、(5)研究開発費の増額を挙げた。

(注)国有資産監督管理委員会が政府を代表して、出資者の権限を行使する国有企業。

(河野円洋)

(中国)

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