輸出者の手元外貨は20%に、政府への配分は増加

(エチオピア)

アディスアベバ発

2022年01月31日

エチオピア中央銀行は1月6日、貿易取引や送金で国内に入ってくる外貨の取り扱いを変更した。新しい指令(FXD/79/2022)は、前回2021年9月1日の変更(2021年10月4日記事参照)に次ぐものだ。

今回の変更では、外貨一時保有口座(注1)を持つ輸出者や国外送金の受領者は、国外からの外貨入金時に期限の定めや使途の制限なく、入金額の20%を外貨で保持し続けられる。改定前の40%から半減したかたちだ。反対に、中銀の外貨枠として国の管理となる割合が増加して70%になった(これまでは50%)。口座を扱う市中銀行への配分は10%のままで変更はない。

中銀は国への外貨供出割合を増やした理由を説明していないが、変更の背景には、ティグライ州を発端とする国内の民族紛争の影響と、対外債務を滞りなく返済する債務管理上の必要性があるとみられる。

国連機関の推計では、紛争で少なくとも310万人が国内避難民となっている。2021/2022年度当初予算で財源として見込んでいた外国援助(融資・贈与)は全体の2割強に及ぶ(2021年7月14日記事参照)が、実際の受領額は落ち込むと予想される。紛争がなければ不要な戦費・復興にかかる経費を補うとともに、食糧輸入などの追加負担が見込まれる。政府債務(グロス)はGDPの57%(2021年時点、IMF推計、注2)で、アフリカの主要国と比べても水準としては高くないが、エチオピアの外貨流入構造は、鉱物資源輸出などに頼れないため脆弱(ぜいじゃく)だ。今回の変更は、外貨フローの管理強化を通じて公的に必要な物資の輸入を賄い、対外債務の返済遅延も起こさないという政府と中銀の強い意思が示されたかたちとなった。エチオピアとの取引では、常に外貨管理と輸入優先品目(2022年1月27日記事参照)を意識した取り組みが求められる。

(注1)口座はRetention Accountと呼ばれるもの。

(注2)IMFによると、モザンビーク134%、ガーナ84%、ケニア70%、南アフリカ共和国69%などがエチオピアよりも高い割合にある。逆に低いのは、コートジボワール50%、ナイジェリア36%など(世界経済見通し2021年10月版)。

(関隆夫)

(エチオピア)

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