2021年の自動車産業は生産・販売・輸出台数ともに前年より増加

(ブラジル)

米州課

2022年01月13日

全国自動車製造業者協会(Anfavea)によれば、2021年のブラジルの自動車(乗用車、商用車、バス、トラックの合計)生産台数は前年比11.6%増の224万8,253台だった。国内販売台数(新車登録ベース)は211万9,851台と3.0%増加した。輸出台数も、チリ、コロンビア、ペルー、ウルグアイ向け輸出が増加し、16.0%増の37万6,383台となった。

生産台数について、Anfaveaのルイス・カルロス・モラエス会長は「2021年は前年比増加したものの予想よりも30万台少なかった」と説明。その上で、「これは、世界的な半導体および電気電子部品不足によりいくつかの工場が生産を一時停止しなければならなかったためだ」と分析した(Anfavea公式プレスリリース2022年1月7日付)。同日付の現地紙「バロール」によれば、2021年は、半導体不足の影響を最も受けた乗用車や商用車の生産台数が前年比で微増(8.7%増)だった。他方で、農産品輸出が好調だったことや、Eコマース市場が好調だったことから輸送需要が増え、トラック需要が増加した。2021年のトラックの生産台数は前年比74.6%増と急増した。

1月7日付Anfaveaの公式プレスリリースによると、2022年は前年比9.4%増の246万台の生産台数を見込む。モラエス会長は「引き続き世界的には部品供給が滞っているが、2022年は、前年と比較して部品不足も回復するだろう」と楽観視している。

国内販売について、自動車ディーラーが加盟するFenabraveの資料(添付資料表参照)で2021年のブランド別国内販売シェア(乗用車、軽商用車合計)をみると、上位から順にフィアット(21.8%)、フォルクスワーゲン(VW、15.3%)、ゼネラルモーターズ(GM、12.3%)、現代(9.3%)、トヨタ(8.8%)と続く。

2020年には第5位で7.1%のシェアを獲得していたフォードが、2021年にはわずか1.9%とシェアが大きく減少し、10位までにも入っていない。同社は2021年1月、同年中にブラジルでの自動車生産を終了する旨を発表した(2021年1月15日記事参照)。同社は100年以上ブラジルで生産を行ってきたが、今後は輸入販売に切り替える見通し。一方、VWは2021年7月、ブラジルが強みを発揮するバイオ燃料によるハイブリッドモーターの製造・輸出拠点の設立(研究開発拠点の設立)を発表した(2021年7月21日記事参照)。ブラジルにおけるカーボンニュートラルへの取り組みを加速する。中国の大手自動車メーカーの長城汽車は2021年10月、サンパウロ州イラセマポリス市にあるドイツ・ダイムラーの工場を買収するかたちで、ブラジルへの進出を発表した(2021年10月8日記事参照)。生産予定車は、同社の主力であるスポーツ用多目的車(SUV)およびピックアップトラック。同社製品企画・戦略部長のアンデルソン・スズキ氏は、電動車市場への参入可能性も示唆している。

(注)商用車にはピックアップなども含む。

(辻本希世)

(ブラジル)

ビジネス短信 60566c7bfbc3c9ab