中国の長城汽車、ブラジルに単独資本で工場進出へ

(ブラジル、中国)

サンパウロ発

2021年10月08日

中国大手自動車メーカー長城汽車の製品企画・戦略部長のアンデルソン・スズキ氏は9月23日付の現地紙「エスタード」のライブインタビューで、同社のブラジル進出計画について説明した。同社は2021年8月19日に、サンパウロ州イラセマポリス市にあるドイツ・ダイムラーの工場を買収するかたちでブラジルに進出することを発表している。

スズキ氏によると、イラセマポリスの工場は2023年初までに稼働する見込みで、年間10万台の生産を目指す。そのうち、70~80%はブラジル市場に流通させ、残りは南米他国に輸出する計画。生産予定車は、同社の主力であるスポーツ用多目的車(SUV)およびピックアップトラック。同氏は、インタビューで「ブラジルでSUVとピックアップトラックの需要が増加していることに注目した」と述べた。また、ブラジルで電動車の販売台数が近年、増加していることにも注目し、ブラジル電動車市場への参入可能性も示唆した。

実際、全国自動車製造業者協会(ANFAVEA)が9月8日に発表した2021年8月分の自動車(乗用車、軽商用車、バス、トラックの合計)販売統計をみると、SUV、ピックアップトラック、電動車の販売台数はそれぞれ前月比で増加している。SUVの8月の販売台数は乗用車の41%を占め、ハッチバック(注1)とセダン(注2)を合わせた販売台数を上回った。ピックアップトラックを含む軽商用車の国内の新車販売台数(新車登録台数)は3万8,729台で、2カ月連続で最多販売台数を更新している。電動車の8月の販売台数は史上最高の3,873台を記録した。

投資の規模について、スズキ氏は「向こう5年で50億元(約850億円、1元=約17円)の投資を予定している」と述べた。また、進出形態について同氏は「100%われわれの資本による進出だ」と説明。ゴイアス州でヒュンダイ(現代)などの一部車種の組み立て生産などを行っているブラジル企業のCAOAと連携してブラジルに進出した奇瑞汽車や、ブラジルのディーラーであるSNSオートモーティブと合弁契約を結んでブラジルに進出した安徽江淮汽車(JAC)とは異なり、中国の単独資本でブラジル事業を立ち上げることを強調した。

(注1)跳ね上げ式または横開き式の「バックドア」(背面ドア)を持つタイプのこと

(注2)3ボックスで4ドアのタイプのこと

(エルナニ・オダ)

(ブラジル、中国)

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