バイデン米政権は2022年も労働者中心の通商政策を追求へ

(米国)

米州課

2022年01月07日

米国通商代表部(USTR)のキャサリン・タイ代表は1月1日、新年に合わせて公開した動画で、2021年の通商分野での成果を振り返り、2022年の優先課題について展望を示した。

タイ代表は冒頭、通商政策はバイデン政権の「中間層のための外交」を推進する上で重要な役割を果たすと強調。USTR代表就任後に達成した具体的な成果として、同盟・友好国との通商分野での課題解消の取り組みを挙げた。欧州に関しては、大型民間航空機補助金をめぐる貿易紛争の解決に向けた協力枠組みにEUおよび英国と合意したこと(2021年6月16日記事6月18日記事参照)や、鉄鋼・アルミニウム貿易に関してEUと合意に至ったこと(2021年11月2日記事参照)を誇示した。北米地域に関しては、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に基づく労働問題の解決や加盟国間での協力(2021年9月24日記事参照)を指摘した。タイ代表は、これらは同盟国との連携を再建するための取り組みと総括した。

2022年の優先課題として、引き続き、米国の労働者や消費者、企業を他国の不公正な政策や非競争的な慣行から守る姿勢を訴えた。中国との関係では、第1段階の経済・貿易協定の実施状況について、同国との対話に着手したことに触れ(2021年10月5日記事参照)、中国政府による有害な産業政策の是正を今後も追求するとした。バイデン政権が今後、正式に調整を進めるとみられる「インド太平洋経済枠組み」(2021年11月18日記事参照)については、技術やデジタル経済における基準(の策定)、環境保護などの共通課題に対して同盟国との連携が可能になるほか、自由で開かれ、安全かつ繁栄するインド太平洋のビジョンで足並みをそろえる重要な機会となる、との見方を示した。そのほか、関係国と連携し、世界のサプライチェーンから強制労働を排除する取り組みを強化するとした。

(甲斐野裕之)

(米国)

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