米英、航空機補助金めぐる対抗措置の5年間停止に合意

(米国、英国、EU、中国)

ニューヨーク発

2021年06月18日

米国通商代表部(USTR)のキャサリン・タイ代表は6月17日、訪問先の英国ロンドンでエリザベス・トラス英国際通商相と会談した。両国は会談後、ジョー・バイデン米大統領とボリス・ジョンソン英首相が合意した「新大西洋憲章」(2021年6月11日記事参照)に基づき、米英双方の大型民間航空機への補助金をめぐる貿易紛争について、解決に向けた協力枠組みに合意したとの共同声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。

中国念頭に投資審査の協力でも合意

協力枠組みは、米国とEUが6月15日に合意した内容(2021年6月16日記事参照)と同一で、貿易紛争を根拠とする追加関税を含めて、対抗措置を5年間停止する。停止は、米国側による英国産ウイスキーや衣類などへの報復関税の一時停止(2021年3月5日記事参照)の期限の7月4日から有効となる。紛争解決に向けては、両国の貿易担当相が主導する作業部会を設置し、作業部会による協議を最低半年に1回、または要望に応じて貿易担当相による協議を最低1年に1回、それぞれ開催する。また、両国は航空産業で中国などの非市場経済に対抗すべく、サイバーセキュリティー上の情報共有や投資審査に関する協力なども約束した。投資審査については、重要技術の窃盗につながり得る対内投資の管理で連携するほか、非市場経済における合弁事業や生産拠点への対外投資が技術移転につながらないよう協力を深める。

タイUSTR代表は今回の合意について「われわれの特別な関係をさらに前進させる」と賞賛しつつ、「公平な競争をもたらし、中国やその他非市場経済による共通課題に対処する上でモデルとなる」と述べた。トラス英国際通商相も「スコッチウイスキーや航空宇宙などの産業に従事する人々にとって素晴らしいニュース」と述べ、中国やその他の国による不公正な慣習に対する連携や、新型コロナウイルスの影響からの経済回復に向けた自由貿易の活用など、英米貿易の強化に注力する方針を示している。

(藪恭兵)

(米国、英国、EU、中国)

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