環境関連や新産業の誘致に向け、税優遇適用産業リストを発表

(エジプト)

カイロ発

2022年01月21日

エジプト政府は1月4日、2017年6月施行の「新投資法」11条で定められた投資インセンティブが適用される産業を更新する「2022年首相令第104号」を発令した。同日から適用されている。

エジプトでは、2022年11月に国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)が開催されることが決定している(2021年11月22日記事参照)。同国は2021年11月に英国で開催されたCOP26において、「エジプト国家気候変動戦略2050(Egypt National Climate Change Strategy 2050)」を発表し、温室効果ガスの削減に向けた取り組みを表明している。今回の法改正では、グリーン水素、太陽光発電、電気自動車、新交通システム、化学・製薬産業などが税優遇適用の対象となっており、エジプトの戦略産業を示すことで、当該分野企業を誘致・育成していきたいとの意向を見て取ることができる(添付資料参照)。

新投資法11条では、特定地域における産業については、課税純益の税額控除を受けられるという投資優遇措置(インセンティブ)が示されている。「セクターA地域」は、スエズ運河経済特区、ゴールデン・トライアングル経済特区、新行政首都および「閣僚評議会決定による低開発地域」とされる。指定産業であれば、投資コストの50%控除が受けられることとなる。ただし、産業名が明示されておらず、どの産業であればインセンティブが受けられるかが不明瞭との批判もあった。新エネルギー・再生可能エネルギーを含む多くの産業は、「セクターA」以外の地域で30%控除が受けられる「セクターB」に列挙されていた。

従来、海外企業からは、エジプト政府による産業政策、企業へのインセンティブは、不明瞭との批判があった。もっとも、最近では輸出額倍増に向けた具体的な促進策の導入(2022年1月14日記事参照)など、より透明性の高い補助策が増えている。今回の法改正と合わせ、エジプト政府の重視する地域および産業が明確になることで、外国企業にとっても投資検討がしやすくなるもようだ。具体的な優遇措置がどの程度になるかは、投資事業計画とともに、投資庁・フリーゾーン庁(GAFI、ジャパンデスクあり)など管轄省庁などに問い合せる必要がある。

(福山豊和)

(エジプト)

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