外資系企業を含め、企業のRCEP協定の利活用が進む

(中国)

上海発

2022年01月26日

地域的な包括的経済連携(RCEP)協定が1月1日に発効した(2022年1月7日記事参照)が、中国では外資系企業を含めて、協定を早速活用する動きがみられる。

上海市嘉定区にある完成車メーカーの上汽大衆汽車は、RCEP協定を利用して日本からトランスミッションコントローラーを輸入する計画だ。トランスミッションコントローラーの関税率は、RCEP協定に基づき7.0%から6.6%に低下した。同社のスイ(目へんに圭)凱佳高級経理は、日本から現在、毎週約300万元(約5,400万円、1元=約18円)のトランスミッションコントローラーを輸入しており、年間で約70万元の減税効果があると試算していると述べた。

国有化学企業の青島海湾集団は、日本向け塩化カルシウム輸出に関して、協定発効当日の1月1日に原産地証明を取得。関税率は3.3%から3.0%に低下した。

企業によるRCEP協定の利活用を促進するべく、海関(税関)も体制を整えている。嘉定税関総合業務科の顧暁峰副科長は、RCEPにより日中間の自動車部品の貿易が促進されると分析しており、同税関は2021年下半期以降、管轄内の自動車関連企業7社に対し、RCEP協定に関する説明会や研修会を行ったと述べた(「上観新聞」2022年1月18日)。

海関総署は2021年11月23日、RCEP協定をはじめとした自由貿易協定(FTA)の利活用を促進するため、輸出企業を認定する「輸出事業者承認管理弁法外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表し、1月1日から施行した。同弁法では、税関が承認した輸出事業者は、RCEP協定を含む中国が締結あるいは参加した貿易協定(注)に基づき、原産地資格を有する輸出品目や生産品目について、税関に申請することなく自社で原産地証明書の発行が可能としている(ただし、発行前には、所管する税関に対し、貨物の中国語・英語名称と当該貨物のHSコード(6桁)、適用する貿易協定などの情報を提供する必要がある)。

(注)輸出事業者承認管理弁法の適用対象となる貿易協定は1月24日時点で、RCEP協定、中国・アイスランド自由貿易協定、中国・スイス自由貿易協定、中国・モーリシャス自由貿易協定の4協定。

(侯恩東)

(中国)

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