RCEPが発効、中国は着実な実施に向けた取り組みを徹底

(中国)

北京発

2022年01月07日

地域的な包括的経済連携(RCEP)協定が2022年1月1日から発効した。2021年12月23日に開催された中国・国務院常務会議では、RCEP協定の発効を契機に、中国の貿易・投資のさらなる発展や国内産業の高度化を促すため、同協定の着実な実施に向けた方針を決定した。

具体的には、(1)協定による関税の減免や原産地累積規定などを活用して競争力がある商品の輸出入を拡大し、サービス業と投資の開放レベルを向上させること、(2)ビジネス環境を改善し、RCEP参加国内の資金・人材を積極的に導入することや国際標準策定への関与を強化すること、(3)協定の実施に向けた専門家チームの編成や、中小零細企業を対象とした研修の強化によって、協定への理解を深め活用を推進すること、(4)協定が未発効の加盟国への発効に向けた働きかけを行うこと、などが盛り込まれた。

商務部の高峰報道官は12月23日、関連部門と連携して早期に「RCEP協定の適切かつ有効な実施に関する指導意見」を公表するとした。また、海関総署は12月14日にRECP協定の実施に関する公告外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。同公告には、協定税率の適用を受けるための申告方法、原産地証明書の発給申請方法などの実務情報が記載されている。

なお、中国の貿易振興機関である中国国際貿易促進委員会(CCPIT)は、CCPITおよびCCPITの地方組織が、協定発効の初日となる2022年1月1日に、12の省・市の企業69社に対してRCEP協定の原産地証明書を計158件発給したと発表した。対象となった輸出品は日本やオーストラリアなど向けで、輸出総額は1,200万ドル超。減免された関税は約18万ドルと推定される。

原産地証明の提出が通関に間に合わない場合の追加申告方法も明らかに

協定発効後に輸出された貨物の中国での輸入通関時に原産地証明書の提出が間に合わない場合の対応について、ジェトロ北京事務所が海関総署担当者に確認したところ、以下の回答を得た。

  • 通関する税関に対して、原産地証明書とその提出が間に合わなかった理由書を後日提出する旨を事前に通知・申請することで、事後提出した原産地証明書の税関での審査・確認が終了した後、余分に支払った関税の還付を受けることができる。
  • 通関後、何日以内に原産地証明書を提出しなければならないかは、通関する税関に事前に確認する必要がある(注)。

(注)海関総署が2021年11月23日に公布した「RCEPにおける輸出入貨物原産地管理弁法」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(2022年1月1日施行)の第29条には、「原産国(地域)を締約国と申告した輸入貨物で、輸入貨物荷受人またはその代理人の税関手続きが完了するまでに有効な原産地証明を取得できなかった場合、税関手続き完了前に当該貨物の原産資格の有無について税関に追加申告を行うこと」との規定がある。

(張敏)

(中国)

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