カンボジア、ASEAN議長国としての方向性を説明

(ASEAN、カンボジア、ミャンマー)

ジャカルタ発

2022年01月07日

カンボジアのプラック・ソコン副首相兼外務国際協力相は12月29日、メディアや外交関係者に対し、同国の2022年ASEAN議長国としての方向性に関する説明会外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを開催した。議長国テーマは「ASEAN A.C.T.: Addressing Challenges Together」とし、新型コロナウイルス禍からの経済回復や直近のミャンマー情勢、米中対立など域内外にさまざまな課題を抱える中で、ASEAN10カ国が結束して対応することの重要性を強調した。

同副首相は演説で、ASEAN域内外には以下の4つの戦略的課題が存在するとの認識を示した。

4課題は次のとおり。

  1. 新型コロナウイルスの感染爆発(パンデミック)と、影響からの速やかな回復:健康リスクと国境をまたぐビジネスや旅行の再開について、慎重にバランスを取る必要。
  2. 主要国間の地政学的な対立から生じる巨大な圧力:政治、経済、貿易、技術面で世界の二分化が進むことへの懸念。
  3. 直近のミャンマー情勢や南シナ海の領有権問題など、既存の伝統的/非伝統的な安全保障上の課題。
  4. ASEAN内および構造上の課題:AUKUS〔注〕、アフガニスタン、ミャンマー、南シナ海などの問題について、着地点をいかに見いだすか。

経済面に関しては、ASEAN包括的復興枠組み(ACRF)(2021年5月26日付地域・分析レポート参照)の効果的な実施、地域的な包括的経済連携(RCEP)協定の実行、デジタル経済や零細中小企業の強化などの必要性を指摘した。

ミャンマー問題解決に向け意欲

同副首相は演説で「ミャンマー情勢を改善することが直近の関心事だ」とした上で、「5項目の合意(2021年4月27日記事参照)」の道筋をつけるため、1月7、8日にフン・セン首相がミャンマーを訪問予定と明らかにした。なお、5項目のうちの1つ「ASEAN議長の特使派遣」について、ブルネイのエルワン第2外相に代わり、プラック副首相が特使として新たに任命された(「カンボジアネス」1月3日)。

〔注〕米国、英国、オーストラリアが2021年9月に発表した新たな安全保障協力の枠組み。

(上野渉)

(ASEAN、カンボジア、ミャンマー)

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