米政府、ロシア政府への協力者に制裁、ウクライナ侵攻を牽制

(米国、ロシア)

ニューヨーク発

2022年01月21日

米国財務省・外国資産管理局(OFAC)は1月20日、ロシア政府の指示を受けてウクライナの政情不安を扇動しているとして、4人の個人を制裁対象である特別指定国民(SDN)に指定外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

ロシアによるウクライナ侵攻の可能性が国際的な関心を集める中、前日19日にはジョー・バイデン大統領が「もしロシアが侵攻した場合は重大な結果を招くことになる」と発言していた(2022年1月20日記事参照)。ただし、財務省によると今回の制裁措置は、2021年4月に発動した制裁の延長で(2021年4月16日記事参照)、ロシアが実際にウクライナに侵攻した場合に備えて、米国および同盟・友好国が検討している影響力の大きい措置とは切り離されたものだとしている。今回、SDNに指定された個人は、ロシアの諜報機関が雇ったウクライナの現国会議員や元政府職員で、ウクライナ政府の転覆や同国の重要インフラの支配の準備などに関わっていたとしている。SDNに指定された個人には、(1)在米資産の凍結、(2)米国人(注)との資金・物品・サービスの取引禁止が科される。また、それらが直接または間接的に50%以上を所有する事業体も、同じ制裁の対象となる。

欧州を訪問中のアントニー・ブリンケン国務長官は同20日、ドイツ・ベルリンでロシアとウクライナ間の問題に関する講演外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを行った。ブリンケン国務長官は、翌21日にスイス・ジュネーブでロシアのセルゲイ・ラブロフ外相と会談を予定しているが、ラブロフ外相に対して過去の合意に戻り、米国および欧州の同盟・友好国と相互の安全保障を約束する未来を築くべく協力するよう働き掛ける、と発言した。一方で、ロシアがウクライナに対する侵略を選ぶ場合は、北大西洋条約機構(NATO)の強化というロシアが不満としている事態を招くことをはっきりさせる、と牽制した。また、今回の会談による解決は期待していないとし、今後も同盟・友好国とともにロシアに対して、外交による平和的な解決か、侵略を経て重大な結果や国際的な非難を招くか、2つの道があることを示していくとした。

(注)米国市民、米国永住者、米国の法律に基づく、もしくは司法権が及ぶ域内に存在する法人(外国支所も含む)、もしくは米国内に存在するあらゆる個人を指す。

(磯部真一)

(米国、ロシア)

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