米国の対内投資フロー額は第2四半期も増加、対外投資はやや減少

(米国)

米州課

2021年10月05日

米国商務省経済分析局(BEA)は9月22日、2021年第2四半期(4~6月)の対内・対外直接投資額(フロー)を発表した。同四半期の対内直接投資額は715億6,600万ドル(前年同期比3.6倍)となり、第1四半期(1~3月)の702億9,100万ドル、前年同期比3.1倍に続き増加傾向が続いた(添付資料表1参照)。地域別にみると、欧州が前年同期比8.8倍の392億ドルと最大の伸びとなった。中でもドイツが8.1倍の230億ドルとなり、オランダとベルギーを除いて多くの国でプラスに転じた。アジア太平洋州は41.9%増加し、日本は3.3倍の79億ドルだった。カナダは3.4倍の109億ドルとなった。

業種別でみると、製造業では輸送機器、コンピュータ・電子機器が増加し、全体で2.9倍に伸びた。卸売業も2.4倍に増加した。

外国企業によるM&A案件としては、ドイツの医療シーメンス・ヘルスニアスによるがん治療機器メーカーのバリアン・メディカル・システムズの買収が2021年4月に完了(164億ドル)や、英領バミューダ諸島の半導体メーカーのマーベル・テクノロジー・グループによる同業の米インファイの買収完了(83億ドル)が目立った。

一方、2021年第2四半期の対外直接投資額は1,219億6,000万ドルとなり、前年同期比12.6%減となった(添付資料表2参照)。地域別にみると、欧州は45.5%減の656億ドルだった。ルクセンブルクは2.1倍の157億ドル、英国は56%増の111億ドル、ドイツは4.9倍の73億ドルとそれぞれ増加したが、アイルランドが94.7%減の43億ドルにとどまったことが響いた。アジア太平洋州は7.0倍の140億ドルだった。日本は引き揚げ超過となり、中国は減少したが、香港が前年同期の引き揚げ超過からプラスに転じた。カナダも前年同期の引き揚げ超過から99億ドルとなった。

米企業による外国企業のM&Aでは、機関投資家EIGが率いるコンソーシアムがサウジアラビアの石油ガス会社サウジアラムコの設立したパイプライン子会社アラムコ・オイル・パイプラインズ・カンパニーの49%の権益取得(124億ドル)を6月に完了した。また、ソフトウエア企業の買収を目的とする特別目的会社(SPAC)のト―マ・ブラボー・アドバンテージがイスラエルのソフトウエア会社アイアンソースとの合併(110億ドル)が6月に完了した。

(高山さわ)

(米国)

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