ドイツの研究所、電動化など移動手段の変化は雇用減につながらないと分析

(ドイツ)

ミュンヘン発

2022年01月18日

ドイツ労働市場・職業研究所(IAB)(注)は1月5日、移動手段(モビリティ)の変化が国内雇用に与える影響を予測した研究報告書を発表した(同研究所プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。移動手段の変化とは、乗用車など個々の移動手段から公共交通機関へ、航空機から鉄道へ、内燃機関搭載車から電動車への移行などを指す。IABは、一定の前提条件の下で2040年における運転手や機械系エンジニアなどの移動手段に直接的・間接的に関連する職業における雇用者数を予測し、移動手段の変化が進んだ場合は、移動手段の変化を反映しない場合に比べ、関連雇用者数が6万人増加するとした。そのため、未来志向の、環境負荷が少ない移動手段に移行しても、一般的に懸念されるような雇用減にはつながらないと結論付けた。

具体的には、同報告書ではドイツ国内を34地域に分け、移動手段の変化に伴う各地域での総雇用者数や職業別雇用者数を分析。移動手段の変化で最も正の影響を受けるのは、ベルリンを中心とする地域とした。ベルリンでは移動手段の移行により1万9,400人分の関連雇用が増加する。また、ドイツ北部のハンブルクや西部のデュッセルドルフおよび周辺地域など、概して都市部は正の影響を受けるとした。

一方、自動車修理関連や、タクシー運転手など自動運転の普及で対応が求められる職業は、都市部、地方ともに雇用者数の減少につながるとした。特に、乗用車の電動化で雇用が減ると予想される自動車産業が集積する地域は影響を受け、報告書ではそのような地域として、ドイツ北部のハノーバー、ドイツ東部のハレ、ライプチヒ周辺のほか、レーゲンスブルク、ケムニッツ、カッセル、シュツットガルトなどを挙げた。

同報告書は結論として、移動手段の変化により関連分野の国内の総雇用者数は増加し、多くの地域では雇用減につながらないとしつつも、内燃機関搭載車の減少による構造転換の動きは、特定地域では今後数十年間、大きな課題になると指摘した。ドイツのケルン経済研究所(IW)も2021年10月、国内の自動車産業集積地域のうち、40の地域が特に自動車産業の構造転換で影響を受ける可能性があるとする調査結果を発表している(2021年10月25日記事参照)。

(注)労働市場に関する調査・政策研究を行う1967年設立の公共研究機関。

(クラウディア・フェンデル、高塚一)

(ドイツ)

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