内燃機関関連産業が盛んな国内40地域を調査、産業構造転換への対応提言

(ドイツ)

ミュンヘン発

2021年10月25日

ドイツのケルン経済研究所(IW)は10月13日、国内の自動車産業集積地域のうち、脱炭素やデジタル化の影響を受ける地域に関する調査結果を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。この調査は連邦経済・エネルギー省がIWに委託したもので、報告書の題名は「ドイツにおける地方の自動車関連ネットワークの経済的重要性」。

報告書はまず、国内の自動車産業は関連産業を含めて約326万人を雇用、うち生産に近い分野では120万人を雇用しているとした。また、国内に合わせて401ある郡と独立市のうち118が自動車産業を主要産業としている。総雇用者数に占める自動車産業の雇用者数の割合が高いのは、フォルクスワーゲン(VW)グループ本社がある北部のボルフスブルク(47.3%)、南部バイエルン州のアウディ本社があるインゴルシュタット(46.7%)やBMWの工場があるディンゴルフィング・ランダウ(43.7%)などだった。

その上で報告書は、この118の郡と独立市のうち40が特に自動車産業の構造転換で影響を受ける可能性があるとした。40の郡と独立市には、内燃機関搭載車のドライブトレインや排気系機器などの関連部品分野が集中している。同分野の国内の総雇用者数は約26万人で、うち前述の40の郡と独立市では約14万人になる。

他方、報告書は構造転換の中で新たな付加価値を創出することも可能としている。具体的には、電動化、自動化、ネットワーク関連技術分野で、既に国内では12万5,000人の雇用が生み出された。特に、インゴルシュタット、ボルフスブルク、ドイツ最南部でスイスとの国境にあるボーデンゼーなどが進んでいるという。

報告書によると、産業転換の動きに対応して新分野で事業展開すべく、国内自動車メーカーを中心に今後数年間で約1,390億ユーロの投資が想定されている。外国企業のドイツ国内における投資も、蓄電池関連を中心に今後数年間で最低100億ユーロが見込まれる。ベルリン近郊に建設中の米国テスラの蓄電池工場(2019年11月21日記事2020年12月3日記事参照)だけでも、投資額は約58億ユーロに上る。

報告書は、地方の自動車産業の構造転換への対応に必要なのは、(1)可能性ある新分野の特定と推進、(2)労働者の再教育や職業訓練、(3)他の産業集積地域との連携、(4)地方独自の課題の特定と解決、(5)ソフトインフラも含めたインフラ整備の5項目を指摘。自動車産業の集積がある日本の地方でも、構造転換をいかに乗り越えるかが課題となっており、同じ課題を抱えるドイツの地域の取り組みが注目される。

(クラウディア・フェンデル、高塚一)

(ドイツ)

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