航空機大手エンブラエル傘下のEVE、ニューヨーク証取への上場計画発表

(ブラジル、米国)

サンパウロ発

2022年01月04日

ブラジル大手航空機メーカー、エンブラエルのグループ会社イブ・アーバン・エア・ソリューションズ(EVE)は12月21日、米国のザナイト・アクイジション・コーポレーションとの経営統合を発表した。新会社はイブ・ホールディングで、EVEの親会社エンブラエルが株式の約82%を所有する。イブ・ホールディングの株式価値は29億ドル。2022年第2四半期(4~6月)までに統合手続きが終了し、ニューヨーク証券取引所に上場する予定。

ザナイトは2億3,700万ドルを出資し、エンブラエルなどを含めた多数のスポンサーから合計3億500万ドルの私募増資を引き受ける見込み。ザナイトのケネス・リッチ最高経営責任者(CEO)は12月21日に配信されたウェブキャストで、エンブラエルは世界的なプレゼンスがあり、米国連邦航空局(FAA)や欧州航空安全機関(EASA)など国際機関の生産承認を得るためのノウハウを持つ。アーバン・エア・モビリティー分野の理想のパートナーだと述べた。

EVEは、垂直離着陸が可能な電動小型航空機「イーブイトール(eVTOL)」を開発しており、都市向けに新たな空の交通手段の開発を進めている。同社が開発中のeVTOLは2026年までに完成する予定。2021年6月以降、国内外から発注が相次いでいる(2021年8月26日記事参照)(添付資料表参照)。11月には、eVTOLによる短距離フライトの運航開始に向けて飛行ルートの検証や市場調査を行うため、垂直離発着の視点では似た機能を持つヘリコプターを使用し、リオ・デ・ジャネイロ市で30日間の飛行ルートの実証実験を行った(2021年11月12日記事参照)。

EVEのアンドレ・スタイン最高経営責任者(CEO)は12月21日付の現地紙「バロール」のインタビューで、実証実験は成功し、平均座席利用率は80%以上だったと述べた。また、スタイン氏は、11月9日に日本の経団連やブラジル全国工業連盟(CNI)がオンラインで開催した日本ブラジル経済合同委員会に出席し、「日本はアーバン・モビリティーにとって大きな市場の1つだ。当社は15年以内に5万機を飛行させたい。そのうち3,000機は日本市場に導入したい」と日本への進出意向を表明した。

(エルナニ・オダ)

(ブラジル、米国)

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