2021年の鉱工業生産、新型コロナ影響下でも前年比4.8%上昇

(ベトナム)

ハノイ発

2022年01月12日

ベトナム統計総局によると、2021年の鉱工業生産指数(IIP、注1)は前年比4.8%上昇の145.8だった。上昇率は前年の3.4%を上回ったが、新型コロナウイルス流行前の2019年の9.1%を下回った。

業種別にみると、鉱業は前年比5.8%低下したものの、製造業は6.0%上昇した。製造業のうち、主要な輸出品目であるコンピュータ電子機器・同部品(9.6%上昇)、アパレル製品(7.6%上昇)、履物(5.2%上昇)などが生産を伸ばした。自動車(12.9%上昇)や自動車部品(6.8%上昇)も前年を上回った。一方、医薬品(16.9%低下)、家電製品(14.9%低下)などは前年を下回った。

2021年は4月下旬以降の新型コロナウイルス感染拡大(第4波)で、ベトナム南部を中心に厳格な社会隔離措置が適用された。その影響で、工場の稼働率低下や市場の低迷を招き、9月ごろまで生産が停滞した。10月以降は、社会隔離措置の緩和(2021年10月19日記事参照)に合わせて生産が回復に向かったが、労働者の職場復帰の遅れや、世界的な輸送費上昇、原材料確保の問題などが足かせとなった。

12月の生産は増加も、新型コロナ感染拡大がリスク

12月単月の鉱工業生産指数(IIP)は165.7だった。前月比は3.5%上昇し、4カ月連続のプラスとなった(添付資料図参照)。前年同月比は8.7%上昇し、2カ月連続でプラスとなった。国内市場の回復を受け、12月は特に自動車(前月比14.5%上昇)や二輪車(10.1%上昇)の生産が伸びた。自動車生産は政府による自動車登録料の減額措置も後押しとなった(2021年12月3日記事参照)

英国の調査会社IHSマークイットによると、ベトナムの12月の製造業購買担当者景気指数(PMI、注2)は52.5だった。3カ月連続で指数が50を上回り、製造業の景気は緩やかに上向いている状況が続く。

一方、新型コロナウイルス感染拡大の影響が危惧される。ベトナムの感染者数は、10月中旬に1日当たり3,000人ほどまで減少したが、その後右肩上がりに増えており、1月上旬は連日1万5,000人を超えている。政府による規制の基準は緩和されたが、工場によっては感染者が多数出たため、実務上生産ラインを止めざるを得ない事態も起きており、警戒が必要な状況だ。

(注1)鉱工業生産指数は、鉱工業の生産を評価する指数で、2015年の生産量を基準(100)に算出される。

(注2)製造業の購買責任者を対象に、生産高や新規受注、在庫水準、雇用状況、価格などの状況を評価する指数。0から100の間で変動し、50を超えると「前月比で改善や増加」、50未満は「前月比で悪化や減少」を表す。

(庄浩充)

(ベトナム)

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