英政府、2022年以降のEUからの輸入手続き変更への準備呼びかけ

(英国、EU)

ロンドン発

2021年12月22日

英国歳入関税庁(HMRC)は12月21日、EUと取引を行う企業向けに2022年1月以降のEUからの輸入時の手続きの変更への準備を呼びかけ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます関係企業にレターを送付PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。レターで言及している変更点は以下のとおり。

  • EUからグレートブリテン島への物品輸入時に完全な通関申告を要求。ただし、アイルランドからグレートブリテン島に輸入規制の対象ではない物品を輸入する場合は例外(2021年12月22日記事参照)。
  • 国内の全ての港やその他の国境地点での税関管理を実施。
  • 英国・EU通商・協力協定(TCA)で特恵関税の適用を要求する場合の原産性証明で、サプライヤー宣誓書(注1)が必要になり得る。
  • 通関申告の際に用いる商品分類の変更(世界税関機構による定期見直しの結果によるもの)。

2022年以降、完全な通関申告が導入されることにより、英国のEU離脱移行期間終了後に導入されていた輸入通関申告の猶予措置が終了となる。

また、国境地点での税関管理の実施に伴い、商品の流通には有効な申告や通関手続きを経る必要があるとしている。場所によっては、商品が実物検査のため内陸国境施設(Inland Border Facility)へ運ばれる可能性もあるとしている。また、利用する港によって、輸出申告の提出を行うタイミングが異なる(事前または到着時)ことにも触れた(政府ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます参照)。

サプライヤー宣誓書については、HMRCが2020年末に、取得を2021年末まで猶予する措置を発表しており(2021年1月4日記事参照)、予定どおり終了となる。

HMRCは、これらの変更への準備ができていない場合に通関手続きが遅れ、さらなるコストにつながるとして注意喚起した(注2)。

(注1)原産地手続きで、原産材料として使用した材料・部品が原産品であることを示す場合に、輸出者がサプライヤーから取得する必要がある裏付け資料。

(注2)政府はウェブサイトでこれらの変更に関する情報を随時提供外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしている。

(山田恭之)

(英国、EU)

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