オミクロン株感染拡大、就労査証の申請・更新でワクチン接種が必須に

(シンガポール)

シンガポール発

2021年12月27日

シンガポール保健省は12月26日、新型コロナウイルスのオミクロン変異株の感染拡大を受け、職場での感染を抑制する対策の一環として、2022年2月1日から就労査証を含む長期パス、学生ビザと永住権者(PR)の新規申請について、ワクチン接種を条件とすると発表した。また、既存の就労査証の更新も、ワクチン接種が義務付けられる(注1)。政府は11月1日から、就労査証とその帯同ビザの保有者(18歳以上)、学生ビザ保持者について、ワクチン接種を入国の条件としていた(2021年10月4日記事参照)。

また、政府は2022年1月1日から、ワクチン接種を出社の条件とし、未接種者については指定検査所での検査を義務付けていた(2021年10月25日記事参照)。保健省は今回、2022年1月15日から、このワクチン未接種者について検査を受ければ出社を可能とする条件を撤廃すると発表した。ワクチンを1回接種して、2回接種を終えていない労働者については同年1月31日まで、事前検査の上で出社ができるとしている。

保健省によると、同国で確認されたオミクロン変異株の感染者が2021年12月26日までに546人となった。このうち、443人が海外からの渡航者で、残り103人が市中感染者だった。オミクロン株の感染者の症状は軽症で、これまでに酸素吸入を必要とした人はいない。

オミクロン株への対応で、水際対策を一部改定

一方、政府は水際対策として、ボツワナ、エスワティニ、レソト、モザンビーク、ナミビア、南アフリカ共和国、ジンバブエ、ガーナ、マラウイ、ナイジェリアに過去14日間の滞在歴のある長期ビザ保有者と短期渡航者の入国を、乗り継ぎを含めて停止していた(2021年12月7日記事参照)が、保健省はオミクロン株の感染が世界各地に広がったことを受けて12月26日午後11時59分から、同10カ国からの入国と乗り継ぎを認めた。同10カ国からの入国者は、入国前と到着時のPCR検査に加え、指定宿泊施設での10日間の隔離が義務付けられる(注2)。

さらに、シンガポール民間航空庁(CAAS)は12月22日、ワクチン接種者を対象に相互に隔離なし渡航を可能にする「ワクチン・トラベルレーン(VTL)」について、同日午後11時59分から2022年1月20日まで新規航空券の販売を停止すると発表した。2022年1月21日からのVTL航空券の販売については、事前割り当て分の50%に制限する。

(注1)就労査証を含む長期ビザ、PR申請のワクチン接種の義務の詳細については、保健省の12月26日付発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を参照。

(注2)海外からの入国者に対する水際対策は、渡航国・地域の感染リスクなどに応じて4つのカテゴリーに分類。具体的な水際対策は移民局(ICA)のセーフトラベルのホームページ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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