1月から、新型コロナウイルスのワクチン接種か検査が出社条件に

(シンガポール)

シンガポール発

2021年10月25日

新型コロナウイルスのシンガポール政府タスクフォースは10月23日、2022年1月1日からワクチン接種者または、過去270日の間に感染して回復した人のみが出社できると、新たな感染防止策を発表した。ワクチン未接種者については出社前に、指定検査所で検査を受けて陰性の必要がある。検査の有効期間は24時間で、費用が本人負担となる。医師の診断によりワクチン接種ができない従業員については、在宅勤務か、出社が必要な場合には事前検査が免除となる(注1)。政府タスクフォースによると、10月17日時点で同国の労働力の96%がワクチン接種を終えている。ワクチン未接種者は約11万3,000人で、このうち1万4,000人が感染した場合に重症化リスクの高い高齢者だ。

政府タスクフォースは10月20日に、9月27日から開始して10月24日に終了予定だった感染防止策の引き締めを11月21日まで延長すると発表していた(2021年10月21日記事参照)。同タスクフォースは10月23日の会見で、国内新規感染者の伸び率を注視していると述べ、現時点では週当たりの新規感染者数を前週の数字で割った数値が1をやや上回り、感染者が増え続けて国内医療体制を圧迫していると指摘した。同タスクフォースは、国内新規感染者の伸び率が1を下回り、病院とICU(集中治療室)病床の患者数が落ち着けば、感染防止策の一部緩和を検討するとしている。

水際対策を一部緩和、到着時のPCR検査を撤廃

一方、政府タスクフォースは10月26日午後11時59分から、海外からの入国者の検査や隔離義務などの水際対策を改定すると発表した。シンガポールでは、各国・地域のワクチン接種率や感染状況に応じて、感染リスクの低い「カテゴリー1」から、感染リスクの最も高い「カテゴリー4」まで、水際対策を4つに分類している。同タスクフォースは10月26日午後11時59分から、カテゴリー2のワクチン・トラベルレーン以外の日本を含む国・地域と、カテゴリー3と4の国・地域からの入国者について、到着時のPCR検査を撤廃する。また、カテゴリー3の国・地域からの入国者に対し、事前申告した自宅または宿泊施設での10日間の隔離が認められるようになる(注2)。

さらに、政府タスクフォースは10月26日午後11時59分から、バングラデシュ、インド、ミャンマー、ネパール、パキスタン、スリランカに過去14日間の渡航履歴者の入国を、短期渡航者を除き認める。

(注1)新型コロナウイルスのワクチン未接種者の検査義務と、ワクチン接種が医学的に難しい人への対応については、人材省が10月23日に発表した勧告外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。

(注2)カテゴリー別の水際対策の詳細については、入国管理局(ICA)のセーフトラベルのホームページ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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