オミクロン株感染抑止に向け入境規制を強化、日本もハイリスク国に指定へ

(香港)

中国北アジア課

2021年12月01日

香港では、12月1日正午までに3例の新型コロナウイルスのオミクロン型変異株(以下、オミクロン株)の感染が確認された。いずれも海外からの輸入症例で、入境時のウイルス検査では陰性だったが、その後の強制検疫(隔離)中の検査で陽性が判明した。3人ともワクチン接種済みだった。こうした中で、香港特別行政区政府(以下、香港政府)は、オミクロン型変異株の感染拡大を抑止すべく、水際措置を強化している。

香港政府は11月30日、同措置の一環として、オミクロン株の輸入症例が確認された日本、ポルトガル、スウェーデンの3カ国を「高リスク」国(グループA対象国)に指定すると発表。12月3日から適用される。

日本はこれまでグループB対象国(注1)に属していたが、グループA対象国への引き上げにより、21日以内に日本(およびその他グループA対象国)に滞在歴のある香港非居民の入境は不可となる。香港居民は入境可能だが、指定検疫ホテルでの21日間の強制検疫が必要となる。

グループA対象国を相次いで追加指定

香港政府は11月27日から、既に追加済みの南アフリカ共和国に加えて、アフリカの7カ国〔ボツワナ、エスワティニ(旧スワジランド)、レソト、マラウイ、モザンビーク、ナミビア、ジンバブエ〕をグループA対象国に指定。また、同月30日から、アンゴラ、エチオピア、ナイジェリア、ザンビアの4カ国も指定した。また、これら計12カ国(11月30日時点)を「オミクロン株のモニタリング強化国PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」として、指定検疫ホテルでの14日間の強制検疫の前に、検疫センターでの7日間の強制検疫を求め、その間、毎日ウイルス検査が実施されるなど、通常のグループA対象国よりも厳格な管理を実施するとした(注2)。

また、香港政府は、オミクロン株の輸入症例が確認された国を全てグループA対象国に追加指定している。今回の日本などの追加の前に、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、カナダ、チェコ、デンマーク、ドイツ、イスラエル、イタリアを12月2日から追加することを決めていた。

日本が属するグループA対象国に対する具体的措置の詳細は以下のとおり。

【グループA対象国】

21日以内にグループA対象国に滞在歴がある場合について

〇香港非居民

入境不可

〇香港居民

(1)搭乗時に必要な書類

a.承認されたワクチン接種記録

b.離陸予定時刻から72時間以内のPCR検査結果の陰性証明

c.指定検疫ホテルの21泊分の予約確認書

(2)検疫措置

a.指定検疫ホテルでの21日間の強制検疫

b.強制検疫期間中に6回のウイルス検査実施

c.強制検疫後に7日間の自己観察

d.香港到着後、26日目の強制ウイルス検査(地域検査センターでの検査が必須)

(注1)グループB対象国では、ワクチン接種記録がある場合、香港居民および非居民に対し、指定検疫ホテルでの14日間の強制検疫が適用されていた。また、ワクチン接種記録がない場合は、香港居民に限り指定検疫ホテルでの21日間の強制検疫により入境可能(2021年8月18日記事参照)。

(注2)グループA対象国のうち、「オミクロン株モニタリング強化国」については、ペニーズベイにある検疫センターで7日間の強制検疫(この間、毎日ウイルス検査実施)を経た後、指定ホテルでの14日間の強制検疫(この間、2日に1回ウイルス検査実施)が適用される。

(小林伶)

(香港)

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