11月のインフレ率は2.5%と減速も、12月以降は再び加速の見通し

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2021年12月21日

アルゼンチン国家統計センサス局(INDEC)は12月14日2021年11月の消費者物価指数(CPI)上昇率を発表した。全国平均値は前月比で2.5%上昇したが、9月と10月に比べて減速した。前年同月比(年率)では51.2%上昇した。2021年1月から11月までの累計では45.4%に達した(添付資料図参照)。

11月の前月比上昇率の詳細をみると、生鮮食品や観光サービスなど季節により価格が変動する財・サービスは前月比0.5%で、10月の8.1%から大きく減速した。エネルギーや公共サービスなど価格統制された財・サービスは、1.0%上昇した。季節要因と価格統制要因を除いたコアインフレ率は3.3%上昇し、14カ月連続で3%台と高止まりしている。

費目別にみると、前月比の上昇率が大きかったのは、外食・ホテル(5.0%)と衣類・靴類(4.1%)(添付資料表参照)。食品・飲料(酒類を除く)の上昇率は、10月の3.4%から11月は2.1%に減速し、政府関係者は価格凍結制度(2021年10月28日記事参照)の効果だと説明した。なお、12月7日に公布した工業生産・開発省国内商業庁決議1064/2021号では、価格凍結の対象品目を見直し、それまでの1,432品目から1,332品目に品目数を減らしている。

政府は、物価上昇を抑制する目的で、2022年中も価格凍結制度を継続する意向を示している。ただし、現在の対象品目1,332品から約1,200品目に縮小し、据え置く価格の見直しを3カ月ごとに行う方針とみられる。

中央銀行が2021年12月3日に発表した、国内外40人の民間エコノミストによる最新経済見通しの集計中央値(REM)によると、今後は物価上昇が加速する見通し。12月は前月比3.4%、2022年1月は3.8%、2月と3月は4%を超える見通しとなっている。年率でも、2021年は51.1%、2022年は51.8%、2023年は42.2%と物価は高止まりする見通しだ。政府が現在、国会で審議している2022年の国家予算案では、2022年のCPI上昇率を33.0%と見込んでいるが、エコノミストや野党は「政府の見通しは現実的ではない」と指摘している。

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

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