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90日間の価格凍結策で政府と民間企業との対立増す

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2021年10月28日

アルゼンチン政府は10月20日、工業生産・開発省国内商業庁決議1050/2021号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公布し、食料品をはじめとした生活必需品など1,432品目の小売価格を90日間凍結した。これにより、小売業者だけでなく全国の生産者や流通業者も含め、10月1日時点の価格を2022年1月7日まで凍結し、対象品目の供給量を減らさずに適切な輸送も行い、設備能力を最大限に使用して増産することが求められる。対象品目とその価格は同決議の付属書PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)に記載されている。

政府は価格凍結について、「これまで感染防止を第1に考えて数々の(制限)措置を取ってきた中、ようやく経済が回復し始めている状況下、生活必需品の食品の価格が上昇しているほか、家庭用品やパーソナルケア製品などの価格も生産コストに釣り合わないほど不合理に上昇している」「国内商業庁が実施した調査では、7%から82%までの価格上昇を確認している」「国民に多大な負担を与えているため、合理性と安定性を保つための緊急措置が必要だった」と、その理由を説明している。

報道などによると、民間企業側では、アルゼンチン経営者協会(AEA)やアルゼンチン商業会議所(CAC)、食品産業会(COPAL)などが政府の決定に強い不満を示している。これらの団体は「価格凍結はインフレの解決策ではない。企業の正常な機能を損なうだけでなく、新規投資や雇用創出を妨げる」とし、「このような措置は、店頭での品不足を発生させる」「産業界はインフレを引き起こす原因ではない。われわれも同じように打撃を被っている」と警告している。

政府が価格凍結を導入した理由として、政権与党の正義党が伝統的に掲げる「ポピュリズム政策」と「個人消費拡大による経済成長」の2つが挙げられる。ロベルト・フェレッティ国内商業庁長官は決議を公布した理由として、「民間企業の幹部は特権意識を持ち、大衆への協調性が欠如している」ことや、「不合理な価格上昇が個人消費に冷や水を浴びせて経済成長を阻害する」ことを挙げ、企業側を強く批判している。今回の価格凍結は、9月12日の国会議員中間選挙予備選挙(PASO、2021年9月17日記事参照)での政府与党の大敗と、9月から再びインフレが加速している(2021年10月21日記事参照)ことなどとは無関係ではない。

フアン・マンスール首相も10月21日、「連邦政府は、法律に基づき国内商業庁決議に従わない企業を罰することができる」と、ツイッターでも警告している。政府を支持する州や都市などでは、市役所職員をスーパーマーケットなどに動員し、価格監視を行うと発表している(10月22日付国営「テラム通信」)。

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

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