新型コロナ・オミクロン株感染拡大を警戒、接触制限や入国規制をさらに強化

(ドイツ)

ベルリン発

2021年12月24日

ドイツのオラフ・ショルツ首相と全16州の州首相は12月21日、新型コロナウイルス対策で全国一律の行動規制をさらに強化する措置について合意外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。新規感染者数は減少傾向に転じているが、22日は4万5,659人といまだ高水準にあり、予想されるオミクロン型変異株感染者の急拡大に備えた措置を講じることとした。

この合意に先立ち、連邦政府の新型コロナ専門家委員会外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(注1)は12月19日、新型コロナ対策に関する提言外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。提言では、オミクロン株の感染拡大の速度と、ワクチン接種完了者と新型コロナウイルス感染症からの回復者もオミクロン株に感染している状況などを踏まえ、感染爆発の可能性を指摘。他人とのより厳格な接触制限の導入、クリスマスや年末年始の休暇期間中のワクチン接種の継続などを求めた。さらに、重要インフラ(病院、警察、消防、救急医療、通信、電気、水道、物流)の事業者は従業員の感染拡大に備え、継続的なサービス供給を可能とする体制構築が必要と指摘した。

この提言を踏まえ、12月2日に発表した措置(2021年12月6日記事参照)に加え、連邦政府と各州政府は12月21日の合意に基づいて以下の措置を導入する。なお、各州政府は地域の感染状況に応じて追加措置を講じることができ、各州で実情に適合した行動規制強化が順次実施される(注2)。

  • ワクチン接種完了者は可及的速やかにブースター接種を受けるよう推奨、ワクチン未接種者にはワクチン接種を強く推奨。
  • 遅くとも12月28日以降は、私的集まりはワクチン接種完了者と回復者のみ参加可能とし、参加人数上限も10人とする。14歳以下の子供は人数制限の対象外。
  • 自分の世帯以外の者との私的な集まり(特に高齢者との面会)に際しては、ワクチン接種完了者にも新型コロナ検査の受検を推奨。
  • 遅くとも12月28日以降はクラブやディスコは閉鎖。
  • 遅くとも12月28日以降は大規模イベント(サッカーの試合など)は無観客開催。
  • 大晦日と元日の集会と公共の場所での花火の禁止。

さらに、重要インフラ事業者には、従業員の感染者が急増した場合にもサービス供給を維持できるよう、パンデミック対応する事業計画の見直しと更新を求めている。

変異株まん延地域からの入国規制強化

連邦政府は12月22日、新型コロナウイルス入国規制にかかる政令の改正を閣議決定した。これまでは、入国前72時間以内に受けたPCR検査または入国前48時間以内に受けた抗原検査の陰性証明書の提示を義務付けていたが(2021年8月5日記事2021年9月7日記事参照)、PCR検査の場合も入国前48時間以内に受けたものとして厳格化した。また、陰性証明やワクチン接種証明の提出義務の対象年齢を従来の12歳以上から6歳以上に引き下げた。加えて、変異株まん延地域からの入国に際しては、PCR検査による陰性証明のみ有効になる。同措置は12月23日から3月3日まで適用する。

(注1)新型コロナ専門家委員会は、ショルツ首相と16州の首相の12月2日合意に基づき、14日に発足した連邦政府内の新組織。科学的見地から新型コロナウイルス感染症対策について連邦政府へ提言する。19人のウイルス学などの専門家がメンバー。

(注2)各州の行動規制の詳細は、在ドイツ日本大使館のウェブサイトの新型コロナ関連情報外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。

(注3)ドイツ政府は各国・地域ごとの感染状況を踏まえ、「国際リスク地域外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」として、「ハイリスク地域(Hochrisikogebiet)」と「変異株まん延地域(Virusvariantengebiet)」を指定し、それぞれ異なる検疫措置を講じている。国際リスク地域は随時更新している。

(中村容子)

(ドイツ)

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