解雇時の退職金割り増し義務を2022年6月末まで延長

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2021年12月28日

アルゼンチン政府は12月24日、必要緊急大統領令(DNU)886/2021号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公布し、従業員を正当な理由なく解雇した場合に退職金(Indemnizacion)を割り増しして支払う義務を2022年6月30日まで延長した。ただし、割り増し率は6月30日の期限までに段階的に引き下げていくことにもなった。

アルベルト・フェルナンデス政権が発足した直後の2019年12月、政府は2019年12月13日付政令34/2019号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますにより、労働に関する緊急事態を宣言し、退職金の割り増し義務を導入した。この義務は2021年12月31日に期限を迎える予定だったが、今回のDNU886/2021号により6カ月延長した。

主な内容は以下のとおり。

  • 正当な理由なく解雇された従業員は、法に基づく退職金に加えて、割り増し分の退職金を受け取る権利を有する。割り増し分は、2022年1月1日から2月28日までは退職金の75%相当、3月1日から4月30日までは同50%相当、5月1日から6月30日までは同25%相当。7月1日からは割り増し分を受け取ることはできない。
  • 割り増し分の金額は、いかなる場合も50万アルゼンチン・ペソ(約56万円、1アルゼンチン・ペソ=約1.12円)を超えてはならない。
  • 政令34/2019号が公布された2019年12月13日以降に雇用された従業員は本措置の対象外とする。

DNU886/2021号では、2021年1月から9月にかけて12万9,000人の労働者が正規に雇用されたことや、同年第3四半期(7~9月)の失業率が8.2%(2021年12月24日記事参照)と、2019年半ばの失業率10.6%から改善したものの、依然として高いことを挙げ、「雇用環境が回復途上にあることから、退職金の割り増しを一度に廃止するのではなく、段階的に削除するスキームを決定した」としている。

2020年3月に導入された正当な理由のない解雇と休職の強要を禁止する措置(必要緊急大統領令(DNU)39/2021号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)も12月31日に期限を迎えるが、政府による延長の発表がなかったことから、2022年1月1日からは同措置は無効となるとみられる。

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

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