決済システムを改革へ、モバイル決済や仮想通貨に対応

(オーストラリア)

シドニー発

2021年12月14日

オーストラリアのジョシュ・フライデンバーグ財務相は12月8日、モバイル決済や仮想通貨などの新たな決済システムに対応するため、制度改革を実施すると発表した。2030年までにデジタル経済の主導的な立場となることを目指す連邦政府のデジタル経済戦略(2021年5月13日記事参照)に基づくもので、適切な規制によって消費者や投資家を保護するとともに、イノベーションや市場競争を促進する狙いがある。

具体的には、デジタル後払い決済サービス「バイナウ、ペイレーター(BNPL)」(2020年10月8日付地域・分析レポート参照)やデジタルウォレットなどの新たな決済方法を管理するため、関連法の近代化を図る。また、仮想通貨などの暗号資産を購入・販売・保有する企業に対する適切な監視体制の構築やライセンスの付与など、信頼性の高い取引環境を整備する。さらに、改革の一環として、中央銀行デジタル通貨(CBDC)に関する実現可能性調査も実施する。これらの改革は、2022年末までに協議する予定となっている。

フライデンバーグ財務相は「オーストラリアでは現在、ほぼ半数の人々がスマートフォンで支払いを行っており、デジタルウォレットやBNPL、仮想通貨は新標準になりつつあるが、決済システムを管理する規制の枠組みは過去25年間でほとんど変わっていない」と指摘し、改革の重要性を強調した。

(住裕美)

(オーストラリア)

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