再エネ由来の電力、2022年1月から選択可能に

(マレーシア)

クアラルンプール発

2021年12月01日

マレーシアのタキユディン・ハッサン・エネルギー・天然資源相は11月23日、再生可能エネルギー由来の電力を購入できる「グリーン電力タリフ(GET)」を発表した(ベルナマ通信11月23日)。マレー半島に住む同国の消費者は水力発電所や太陽光発電所で発電した電力を選択できるようになる。2022年1月1日からサービスを開始する。

GETの利用者は1キロワット時(kWh)当たり3.7セン(約1円、100セン=1リンギ=約27円)の追加料金を支払う。政府はそれを再生可能エネルギー開発などの予算として活用する予定だ。GETを通じた再生可能エネルギー由来の電力供給量は年間4,500ギガワット時(GWh)で、2022年から2024年にかけて半島マレーシアの60万世帯へ毎月供給できる見通しだ。

タキユディン天然資源相はGETの導入により「家庭だけでなく、マレーシアで活動する企業や投資家、組織に対し、再生可能エネルギー由来の電力を提供することで、彼らがESG(環境・社会・ガバナンス)へコミットすることを支援する」と説明した。さらに、再生可能エネルギー由来の電力への100%切り替えを表明しているRE100外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(注1)参加企業などによるマレーシアへの新たな投資に期待感を示した(「マレーシアン・リザーブ」11月24日)。なお、GET利用者は、マレーシア再生可能エネルギー証書(mREC、注2)の発行を受け、再生可能エネルギーの調達・消費を主張できるとともに、証書を売買することも可能となる。

また、同省自体もGETを利用すると発表。同時に、民間企業9社がGETの利用と再生可能エネルギーへの100%切り替えを発表した(注3)。

マレーシアは2050年までのカーボンニュートラル達成を宣言しており、9月に発表した第12次マレーシア計画(2021年10月12日記事参照)では、総発電容量に占める再生可能エネルギーの割合を2025年までに31%へ引き上げる目標を掲げている。

(注1)使用する電力の再生可能エネルギー100%化にコミットする民間企業によるイニシアチブ。11月現在、25カ国342社が参加。企業を中心としたさまざまな団体が責任ある創造的なリーダーシップを発揮することにより、社会の良き一員として行動し、持続可能な成長を実現するための世界的な枠組み作りに参加する自発的な取り組み。

(注2)非営利団体I-REC Standardにより認証・管理される証書。再生可能エネルギー1メガワット時(MWh)ごとに発行される。

(注3)CIMB銀行、ダッチ・レディ・ミルク・インダストリーズ、ネスレ・マレーシア、テナガ・ナショナル、ガムダ、HSBCマレーシア、チューリッヒ・インシュランス・マレーシア、MCISインシュランス、オープンシス。

(芥川晴香)

(マレーシア)

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