アリババなど企業のカーボンニュートラル実現目標の発表相次ぐ

(中国)

上海発

2021年12月28日

中国の電子商取引(EC)大手アリババは12月17日、カーボンニュートラルの実現に向け、「アリババ・カーボンニュートラル行動報告」を発表し、実現への期限や取り組みを明記した。

同報告では、アリババの2020年の温室効果ガス(GHG)総排出量は951万4,000トン。スコープ(注)別の排出量はそれぞれ、スコープ1が51万トン、スコープ2が371万トン、スコープ3が529万4,000トン。アリババは2030年までにスコープ1と2のカーボンニュートラルを実現させ、スコープ3については、二酸化炭素(CO2)排出強度を2020年比で50%低下させるとしている。そのほか、2035年までに累計15億トンのCO2排出を削減することを明記した。

実現に向けた具体的な対応として、スコープ1と2では、主に電化、エネルギー効率化、エネルギー構成の調整、カーボンオフセットや除去によって排出削減を目指す。スコープ3の取り組みとしては、(1)データセンターやインフラのエネルギー効率向上と電力のクリーン化、(2)物流サービスと包装サービスの調達で、電動輸送やグリーン包装の提供が可能なサプライヤーを優先し、戦略的に調達、(3)従業員による相乗りや自社バスの利用推奨などを通じた出張や外出時のカーボンフットプリント削減、(4)バリューチェーンの低炭素化を挙げた。

アリババ以外の企業も、カーボンニュートラルなどに向けた計画を公表している。家電大手の美的集団は10月14日にグリーン戦略を発表。2030年までに企業内のカーボンピークアウト、2060年までにカーボンニュートラルを実現するため、4段階に分けて取り組みを実施する。第1段階では、グリーンエネルギーの前倒し利用により、2030年までに着実にカーボンピークアウトを実現。第2段階では、グリーン電力の割合を増加させ、2040年までに炭素の段階的な排出削減を実現。第3段階では、電力の活用を通じて2050年までに炭素の排出を大幅に削減。第4段階では、これらの取り組みを一層推進し、2060年までにカーボンニュートラルを目指すとしている。加えて、グリーンなグローバルサプライチェーンの構築やグリーンな商品・サービスの提供に向けて、デザイン、調達、製造、物流、回収、サービスのグリーン化を打ち出した。

中国では、国務院が10月24日に「カーボンピークアウトとカーボンニュートラルの完全、正確かつ全面的な実施に関する意見」、10月26日に「2030年までのカーボンピークアウトに向けた行動方案」を発表しており(2021年11月1日記事参照)、企業の脱炭素化に向けた計画策定を後押ししている。

(注)スコープとは、GHG排出量の範囲を指す。スコープ1は、企業自らの直接排出量(例えば、ボイラーや焼却炉、自動車燃料の燃焼による排出)。スコープ2は、企業が購入した電気、蒸気、熱供給、冷却などの2次エネルギーの使用による間接排出量。スコープ3は、企業のバリューチェーンで発生するその他全ての間接排出量。

(龐婷婷)

(中国)

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