インド中銀、9会合連続で政策金利を据え置き

(インド)

ムンバイ発

2021年12月10日

インド準備銀行(RBI、中央銀行)は12月8日の金融政策決定会合(MPC)で、政策金利(レポレート)を4.0%に据え置くことを決定した。また、新型コロナウイルスが国内経済に与える影響を軽減することを目的に、金融政策も引き続き「必要な限り緩和的なスタンス」を維持するとした。政策金利の据え置きは2020年8月から9会合連続となった。

RBIのプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、政策金利据え置きの要因として、消費者物価指数(CPI)上昇率(インフレ率)の安定などが挙げられている。RBIは、インフレ率の目標範囲を4%±2%と設定しているところ、2021年9月は4.3%、10月は4.5%(注)と、いずれも目標範囲内になっている。また、8月に3.1%だった食料インフレ率(CFPI)は、9月は0.7%、10月は0.9%と軟化し、インフレ率の安定に寄与した。

今後のインフレ率については、2021年10~12月は5.1%、2022年1~3月は5.7%とし、2021年度(2021年4月~2022年3月)通年では5.3%になると予測している。通年値は前回10月の予測(2021年10月15日記事参照)に据え置いた。インフレの変動要因として、不安定な原油価格、野菜や食用油の安定供給などが挙げられている。

今後のGDP成長率については、2021年10~12月は6.6%、2022年1~3月は6.0%とし、2021年度通年では9.5%になると予測している。通年値は、前回10月の予測に据え置いた。プラス材料としては、新型コロナウイルスワクチン接種率の拡大や新規感染者の減少に伴う国内経済の回復、生産連動型インセンティブ(PLI)制度に伴う国内製造業や輸出の振興が見込まれる一方で、一次産品価格の変動や新たな変異株の出現などによる成長率の下振れリスクが挙げられている。

地元紙によれば、12月6日時点のインド国内のオミクロン株感染者数は23人で、内訳はマハーラーシュトラ州が10人、ラジャスタン州が9人、カルナータカ州が2人、デリー州とグジャラート州が各1人となっている(「ミント」紙12月7日)。

(注)インフレ率、食料インフレ率ともに、2021年9月分は確定値、10月分は速報値。

(榎堀秀耶)

(インド)

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