インド中銀、8会合連続で政策金利を据え置き

(インド)

ムンバイ発

2021年10月15日

インド準備銀行(RBI、中央銀行)は10月8日の金融政策決定会合(MPC)で、政策金利(レポレート)を4.0%に据え置くことを決定した。また、新型コロナウイルスが国内経済に与える影響を軽減することを目的に、金融政策も引き続き「必要な限り緩和的なスタンス」を維持するとした。政策金利の据え置きは2020年8月から8会合連続となった。

RBIのプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、政策金利据え置きの要因として、消費者物価指数(CPI)上昇率(インフレ率)の安定などが挙げられている。RBIは、インフレ率の目標範囲を4%±2%と設定しているところ、2021年7月は5.6%、8月は5.3%(注)と、いずれも目標範囲内になっている。また、6月に5.2%だった食料インフレ率(CFPI)は、7月は4.0%、8月は3.1%と軟化し、インフレ率に影響した。

今後のインフレ率については、2021年7~9月は5.1%、10~12月は4.5%、2022年1~3月は5.8%とし、2021年度(2021年4月~2022年3月)通年では5.3%になると予測している。前回8月の予測では通年で5.7%としており、今回の予測では下方修正した格好だ。インフレの変動要因として、不安定な原油価格、金属・エネルギー価格の上昇、農産品の安定供給などが挙げられている。

今後のGDP成長率については、2021年7~9月は7.9%、10~12月は6.8%、2022年1~3月は6.1%とし、2021年度通年では9.5%になると予測している。前回8月の予測では通年で9.5%とし、今回の予測でも据え置いた。要因として、新型コロナウイルス感染第2波の収束と祭事期の到来に伴う国内経済の回復、生産連動型インセンティブ(PLI)制度に伴う国内製造業や輸出の振興が見込まれる一方で、世界的な半導体不足などによる成長率の下振れリスクが挙げられている。

10月10日時点のインドの新型コロナウイルスの1日当たり新規感染者数は約2万人で、40万人以上を記録した2021年5月初旬から減少傾向にある。

(注)インフレ率、食料インフレ率ともに、2021年7月分は確定値、8月分は速報値。

(榎堀秀耶)

(インド)

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