ナショナルデーで2030年万博候補地モスクワを売り込み

(ロシア、アラブ首長国連邦)

モスクワ発

2021年12月13日

アラブ首長国連邦(UAE)で開催中のドバイ万博で、12月4日にロシアのナショナルデーが開催された。ミハイル・ミシュスチン首相は開会式で、a.2021年1~10月のロシアとUAEの往復貿易額は40億ドルと過去最高になったこと、b.UAEがロシア製新型コロナワクチン「スプートニクV」を早い段階で正式承認したこと、などに触れ、同万博は両国の多方面にわたる関係深化の一助になると述べた。また、世界に共通する課題解決の取り組みとしてグリーンエネルギーや原子力、航空・宇宙分野に言及。「そこには境界や一方的な制限はあってはならない」とし、国際的な共同研究開発に積極的に関与する姿勢を見せた。

写真 ロシアのカントリー・パビリオン外観(ジェトロ撮影)

ロシアのカントリー・パビリオン外観(ジェトロ撮影)

写真 人間の脳をモチーフとした展示物(ジェトロ撮影)

人間の脳をモチーフとした展示物(ジェトロ撮影)

ナショナルデーに合わせて開催されたロシア・フォーラムの全体会合では、鉄鋼大手メタロインベストのナジム・エフェンディエフ最高経営責任者(CEO)が、直接還元製鉄法(注)を用いた鉄鋼生産用の特殊ペレット製造に関して、UAE企業と交渉を進めていることを発表した。天然ガスをはじめとする炭化水素を使用する直接還元法によって、温室効果ガスの排出削減を目指すとしている。

ナショナルデーを訪問したワレンチナ・マトビエンコ連邦上院議長は、UAEの連邦諮問評議会のサクル・ゴバシュ議長と会談。ロシアとUAEが12月8日に国交樹立50周年を迎えたことに合わせたもの。マトビエンコ議長は、2020年にUAEの衛星の打ち上げにロシアが貢献するなど宇宙探査分野での両国の協力関係を評価したほか、モスクワが立候補している2030年万博(2021年5月10日記事参照)への支持を呼び掛けた。

候補地のアピールの一環として、ロシア・パビリオンにおいてモスクワ市を紹介する展示会が実施され、ナショナルデーではモスクワ市のセルゲイ・ソビャニン市長自らがUAE要人を前に説明を行った。2030年万博には、モスクワ市以外にオデッサ(ウクライナ)、釜山(韓国)、ローマ(イタリア)、リヤド(サウジアラビア)が立候補しており、2023年に開催地が決定される。

(注)主として、天然ガスを使用して鉄鉱石を還元する製鉄法。

(菱川奈津子)

(ロシア、アラブ首長国連邦)

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