IEA、2026年までの中東・北アフリカ地域の再エネ導入規模を32GW以上と予測

(中東、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、イスラエル、エジプト、モロッコ)

中東アフリカ課

2021年12月09日

国際エネルギー機関(IEA)が12月1日に発表した「再生可能エネルギーに関するレポート(Renewables 2021)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」では、「主要ケース(Main case)」と、さらに成長が加速した場合の「加速ケース(Accelerated case)」の2パターンに分けて、2026年までの世界と各国・地域の発電に占める再生可能エネルギーの導入規模を予測している(2021年12月7日記事参照)。

中東・北アフリカ(MENA)地域の主要ケースでは、過去5年間(2015~2020年)の15ギガワット(GW)から、今後5年間(2021~2026年)で倍増となる32GW以上の再エネ導入規模を見込んでいる。増加の背景としては、気候変動対策としてのクリーンエネルギーの導入目標や、化石燃料からのエネルギー多様化という各国のニーズを満たすために、太陽光発電のコスト面での効率化と導入が進む点を挙げている。

加速ケースになると、さらにその2倍近い57GWに達すると予測している。ただし、加速のためには2つの課題があるとし、1点目は再エネによる発電のためのグリッド整備が不十分なこと、2点目は新型コロナウイルス感染拡大による電力需要の伸びの鈍化により、一部の国で供給過剰となるとしている。

電源別では、太陽光発電が再エネ増加分の3分の2以上のシェアを占めている。太陽光発電では、近年競争力がある独立系発電事業者の参入によるコスト削減が進み、今後さらに導入が進むと見込まれる。ただし、電力会社がさらなる低価格を実現しようとして契約交渉が長引くと、成長ペースが遅くなる可能性もあるとしている。

MENA地域の再生可能エネルギー容量の増加分の4分の3は、アラブ首長国連邦(UAE)、サウジアラビア、イスラエル、エジプト、モロッコの5カ国に集中するとしている(注)。2021~2026年の5年間に、UAEとサウジアラビアはともに6GW以上、イスラエルは5.2GW、エジプトでは4GW、モロッコは3.8GW増加するとしている。

いずれの国も太陽光発電が中心を占めるが、UAEでは集光型太陽熱発電(CSP)や廃棄物発電なども進み、エジプトやモロッコでは太陽光と風力のミックスが進むとし、イスラエルでは成長の半分以上を分散型太陽光発電が占めるとしている。

(注)本レポートではトルコは欧州に含まれている。

(米倉大輔)

(中東、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、イスラエル、エジプト、モロッコ)

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