IEA、2026年までの世界の再エネ導入見通しを発表

(世界)

国際経済課

2021年12月07日

国際エネルギー機関(IEA)は12月1日、再生可能エネルギーに関するレポート(Renewables 2021)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。同レポートは、2026年にかけての再生可能エネルギー関連技術の発展を見通すもので、2つのケース(主要ケース、加速ケース)に加え、IEAの2050年ネットゼロ達成を見据えた場合の分析・比較を行った。

主要ケース(Main case)では、新たな再生可能エネルギー発電容量の導入は2026年までの6年間に、年平均で305ギガワット(GW)と、これまで以上に加速すると予測した(注1)。国・地域別に導入規模をみると、主要ケースでは中国、EU、米国、インドの存在感が大きい。これらの4カ国・地域は世界の導入増加の80%を占める。なお、2021年単年の導入規模は290GWと、過去最高水準の増加がみられた前年を上回る見通し。

加速ケース(Accelerated case、注2)の場合、同期間における導入規模は年平均で380GWになるという。ただ、いずれのケースも2050年ネットゼロ達成に必要な水準には及ばず、加速ケースの導入増加率を80%上回る必要があるという。

主要ケースを電源別にみると、2026年までの再生可能エネルギー発電容量増加分(1,800GW超)のうち、太陽光発電による増加分が約60%を占める見通し。中国、EU、インドにおける政府のイニシアチブが増加に貢献しているという。風力発電については、2026年までにオンショア(陸上)で年平均75GW、オフショア(洋上)で同21GWの容量増加が予測されている。陸上では、中国、EU、米国の増加が大きい。洋上では、英国、ドイツ、ベルギー、デンマーク、オランダなどにおける増加が見込まれる。

IEAの示すいずれのケースにおいても、2021年から2026年にかけて導入される再生可能エネルギー発電容量は、2015年から2020年にかけての容量に比べ50%以上増加する見通しだ。その背景として、IEAは、前出の主要国・政府の政策による強い支援に加え、国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)を見据え、会期前および会期中に発表された野心的なクリーンエネルギー導入目標があると指摘している。

(注1)主要ケースでは、2026年までに再生可能エネルギー設備容量は1,800GW以上増加し、世界の新規発電容量増加分の約95%を再生可能エネルギーが占めると見通している。

(注2)加速ケースでは、政府が政策や規制、またその実施段階における課題に対処することや、資源価格の安定および2015~2019年程度の水準への下落、民間部門からの十分な資金投入を想定。

(柏瀬あすか)

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