EU理事会、入域制限解除国リスト改定、ヨルダンとナミビアを除外

(EU、EFTA)

ブリュッセル発

2021年12月03日

EU理事会(閣僚理事会)は12月2日、新型コロナウイルス対策に伴うEU加盟国と欧州自由貿易連合(EFTA)加盟国(注1)以外の国・地域からの不要不急の入域制限措置の解除に関する2020年6月30日付理事会勧告(2020年7月1日記事参照)の対象国・地域リストを見直す勧告を発表(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。今回の勧告により、ヨルダンとナミビアの2カ国が除外された。追加された国はなかった。ナミビアに関しては、10月29日に同リストに追加されたばかりだったが(2021年11月1日記事参照)、南部アフリカ地域でのオミクロン型変異株の確認を受けて、11月26日に同国を含む同地域(注2)からの入域に対して制限を課すことで一致したことから(2021年11月29日記事参照)、今回同リストから除外された。

EUは現在、EU理事会が勧告する入域制限解除国・地域からの入域を除き、原則として域外からの不要不急の入域制限を行うよう加盟国に求めている(注3)。EU理事会の勧告には法的拘束力はなく、各加盟国が入国制限を実施しているが、今回の勧告に基づき、加盟国は不要不急の入国を認める域外国についてあらためて判断することになる。ただし、EUは2021年5月20日付理事会勧告(2021年5月21日記事参照)で、例外的にワクチン接種完了者に対する不要不急の入域制限を原則撤廃する方針を決定しており、加盟国はワクチン接種完了者に対して、同リストに不掲載の国・地域からの不要不急の入国制限の適用外とすることができるとしている。なお、入域制限解除国・地域からの入域でも、加盟国によっては、PCR検査結果の陰性証明の提出や自主隔離の実施などの条件(2021年2月3日記事参照)を満たすことが必要になる場合がある。また、EUは域内でのオミクロン株の流行に強い危機感を示していることから(2021年12月2日記事参照)、今後は出発地の同リストへの掲載や旅行者のワクチン接種の有無にかかわらず、検査結果の陰性証明の提出などの追加的な措置を求める加盟国が増える可能性がある。

今回のEU理事会の勧告に基づく、12月2日以降の不要不急の入域制限解除国・地域はアルゼンチン、オーストラリア、バーレーン、カナダ、チリ、コロンビア、インドネシア、クウェート、ニュージーランド、ペルー、カタール、ルワンダ、サウジアラビア、韓国、アラブ首長国連邦(UAE)、ウルグアイ、中国、香港、マカオ、台湾。ただし、中国はEUとの相互主義に基づく措置を取ることを条件とする。

(注1)アイルランドを除くEU加盟国と、シェンゲン協定に加盟するアイスランド、ノルウェー、リヒテンシュタイン、スイスが勧告の対象。本勧告で、アンドラ、モナコ、サンマリノ、バチカン市国の居住者はEU居住者と見なされる。

(注2)ボツワナ、エスワティニ(旧スワジランド)、レソト、モザンビーク、ナミビア、南アフリカ共和国、ジンバブエ

(注3)欧州委員会は11月25日、有効なワクチン接種証明書の保持者などを対象に、不要不急の入域制限を原則として撤廃し、それに伴い入域制限措置の解除対象国・地域リストを廃止する理事会勧告案(2021年11月26日記事参照)を発表しているが、採択された場合でも、同リストの改定は2022年2月末までは継続するとしている。

(吉沼啓介)

(EU、EFTA)

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