欧州委、EU域内移動におけるPCR検査などの追加的措置の必要性に言及

(EU)

ブリュッセル発

2021年12月02日

欧州委員会は12月1日、EU域内でのオミクロン株の検出増加を受けて、EUと加盟国による協調的な対応に向けた新たな政策文書PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。欧州委は、EU域内では現在、10月以降のデルタ株による感染の再拡大による第4波が起きており、そうした状況の中で、オミクロン株という新たな脅威にさらされているとして、強い危機感を示した。欧州疾病予防管理センター(ECDC)の同日の発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、11の加盟国で合計59件(注)のオミクロン株の感染が確認されており、域内での感染例が日を追うごとに増えている。

こうした状況を踏まえて、政策文書では、各加盟国は、オミクロン株が確認され次第、直ちに緊急時対応計画を実行に移す必要があるとした。EU域外からの入域に関しては、加盟国は11月26日、南部アフリカ地域からの入域に対して制限を課すことで一致している(2021年11月29日記事参照)。一方で、域内移動に関しては、欧州委は11月25日に、EUレベルの共通指針となるEU理事会(閣僚理事会)の新たな勧告案(2021年11月26日記事参照)において、検査や隔離といった追加的な措置を、ワクチン接種完了者に対して課すべきでないと提案していた。しかし、政策文書では、各加盟国に対して、オミクロン株に対する予防的な措置として、域内移動の旅行者に出発前のPCR検査の要件を課すことは適切と考えられるとした。既に、ポルトガルは12月1日から、EU域内からのワクチン接種完了者に対しても、出発前の陰性結果の提出を義務付けるなど、EU域内移動における追加的な措置の実施を始めた。今後、域内移動においても、このようなかたちで追加的な措置を課す加盟国が増える可能性がある。

ブースター接種に向けて、十分な量のワクチンの確保を強調

第4波とオミクロン株の脅威に対抗するために、欧州委は、EU域内の23.5%の成人がいまだにワクチン接種を完了していないことから、ワクチン接種の推進をあらためて求めた。また、全加盟国で重症化のリスクが高い市民を対象にしたブースター接種が開始されているが、こうした層からブースター接種をさらに加速させる必要があるとした。なお、欧州委は、2022年以降のワクチン調達を既に進めている。2022年第1四半期には、米国ファイザーとドイツ・ビオンテック、および米国モデルナ製のワクチンを合計で3億6,000万回分受領する予定で、EU域内の全てのワクチン接種完了者へのブースター接種に十分な量が確保されていると強調した。

(注)オーストリア(3件)、ベルギー(2件)、チェコ(1件)、デンマーク(4件)、フランス(レユニオン島)(1件)、ドイツ(9件)、イタリア(4件)、オランダ(16件)、ポルトガル(14件)、スペイン(2件)、スウェーデン(3件)

(吉沼啓介)

(EU)

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