欧州委、南部アフリカ地域からの入域制限を要請、ワクチン輸出監視制度を導入へ

(EU)

ブリュッセル発

2021年11月29日

欧州委員会は11月26日、EU加盟国に対して、南アフリカ共和国などで確認された新型コロナウイルスの新たな変異株(オミクロン株)に対する予防的措置として、南部アフリカ地域の国からの入国に制限を課すよう提案した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。欧州委は、EUと加盟国が速やかに一致団結した行動を取る必要があると強調。加盟国に対して、南部アフリカ地域や今回のオミクロン株の影響を受けているその他の国を対象に、懸念される変異株に対する対策として一時的な入国制限を課す「緊急抑制メカニズム」(2021年5月21日記事参照)の発動を求めた。

制限内容としては、制限対象となる国からの全ての航空便の一時停止や、制限対象の国からEUへの入域が認められる渡航者(EU市民や長期滞在者、特定の必要不可欠な渡航者を想定)に対する厳格な検疫ルールの適用などを提案した。今回の提案を受けて、各加盟国は、制限の対象となる国の指定と具体的な制限の内容などを含めて、南部アフリカ地域などからの入国制限の実施を判断するとみられる。

欧州委のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は会見で、ウイルスの拡散を遅らせるためには、ワクチン接種、ブースター接種が重要だとあらためて訴える一方で、それだけでは十分でなく、入国禁止や国境での制限的措置も必要だとも述べた。

新たなワクチン輸出監視制度を決定

欧州委は同日、12月末で適用期限を迎えるワクチン輸出許可制度に代わる新たな制度となるワクチン輸出監視制度に関する実施規則外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。同実施規則については、欧州委が9月に方針を発表していた(2021年10月1日記事参照)。

ワクチン輸出監視制度では、ワクチンや構成成分をEU域外に輸出する製造業者は事前の輸出許可を取得する必要がなくなり、代わりに、同制度の対象となる製造業者別に割り当てられたEU統合関税率(TARIC)の追加コードと輸出するワクチンの回数を輸出申告書に記載することが求められる。欧州委は、同制度により事業者別の輸出データをリアルタイムで収集することができるとし、集計したデータは公表する予定だとしている。このワクチン輸出監視制度は2022年1月1日から24カ月間施行される。

(吉沼啓介)

(EU)

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