政府、週3日の在宅勤務義務化など新型コロナ対策の新たな措置発表

(フランス)

パリ発

2021年12月28日

フランスのジャン・カステックス首相は12月27日、国内で新型コロナウイルスの新規感染者数が急速に増加している状況などへの対応策を議論する一連の会議の終了後に、オリビエ・べラン連帯・保健相とともに記者会見を行い、最低週3日の在宅勤務の義務化やワクチンのブースター接種の一層の加速化など、今後の対応策を説明した。

主な発表の内容は以下のとおり。

  • 全ての企業で、在宅勤務が可能な職務にある全ての従業員は最低週3日、可能ならば週4日在宅勤務を行うことを義務化する。
  • ワクチンのブースター接種を加速させるため、2回目接種からの間隔を4カ月後に短縮していたが(2021年12月21日記事参照)、12月28日からは3カ月後にさらに短縮する。
  • 2022年1月15日から衛生パスをワクチンパスに切り替える(注)。偽造ワクチンパスに対する罰則を強化する。
  • 2022年1月3日から3週間、大規模イベントの入場者数を屋内で2,000人まで、屋外で5,000人までに制限する。同期間の立ち見コンサートを禁止する。同期間の長距離を含む公共交通機関や映画館・劇場、スポーツ施設での飲食と、バーやカフェでの立食を禁止する。
  • 地方自治体の判断により、各都市中心部でのマスク着用を義務化。
  • 大みそかから元旦にかけての夜間外出制限は実施しない。
  • 学校は通常どおり1月3日から始業とする。
  • 陽性者や濃厚接触者の自主隔離期間については、1月1日までには見直す予定。

カステックス首相は、今回の制限措置によって経済的影響を受ける企業に対する支援措置については、ブリュノ・ル・メール経済・財務・復興相が遅滞なく準備するだろうと付言した。

フランスでは、12月25日に新型コロナウイルスの1日当たり新規感染者数が10万4,611人となり、これまでの記録を大幅に上回って、初めて10万人を超えたほか、オミクロン型変異株の感染者数は27日時点で2,473人と急増している。こうした状況などを踏まえ、政府はワクチン接種の加速化以外にも、行動制限を伴う対策を打ち出さざるを得ない背景がある。今後、これら対策の有効性と、さらなる制限措置が導入されるかが注目される。

(注)ワクチン接種や症状の回復、陰性結果のいずれかを証明する衛生パスから、ワクチン接種証明書のみとする。法案は既に閣議決定済みで現在、議会審議待ちの状態。

(井上宏一)

(フランス)

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