フランス政府、ワクチン接種を義務付けへ

(フランス)

パリ発

2021年12月21日

ジャン・カステックス首相は12月17日に記者会見を行い、新型コロナウイルスの変異株「オミクロン」への対応として、現行の衛生パスを、ワクチン接種完了者しか取得できないワクチンパス(ワクチン接種証明書)に切り替えると発表した。同措置を可能にする法案を2022年1月初頭に議会に提出し、1月中にも成立させたい考え。同法案が成立すれば、レストランや文化・娯楽施設、長距離交通機関の利用はワクチン接種完了者に限られ、ワクチン未接種者は、これまでのように24時間以内に実施したPCR検査または抗原検査の結果が陰性でも利用できなくなる。また、同法案には、偽造パスの摘発や懲罰を強化する措置も盛り込まれる。

カステックス首相は、現時点で1日当たりの新規感染者数は5万人を超えているものの、デルタ株による第5波はピークに達しつつあるとしている。一方で、2022年1月初頭にはデルタ株に代わってオミクロン株が主流となるとの見通しを示した。感染拡大防止に向け、年末年始、特に12月31日の夜は、公共スペースにおける集会、花火やコンサートなどのイベントを禁止するほか、ワクチンのブースター接種を加速するため、2022年1月3日以降、2回目接種からの間隔を現行の5カ月から4カ月に短縮することを決めた。

これとは別に、オミクロン株が猛威を振るう英国からの入国を原則禁止する措置が、2021年12月18日午前0時に施行された。ワクチン接種の有無にかかわらず、ビジネスや観光目的の入国は認められない(フランス国籍保有者とその家族は除く)。必要不可欠な渡航と認められ、入国する場合は、ワクチン接種完了者にも24時間以内の陰性証明(PCR検査または抗原検査)の提示と自主隔離の実施が義務付けられた。自主隔離は、事前登録された場所で48時間隔離した後、PCR検査または抗原検査で陰性が証明されれば、解除される。

なお、フランス国内におけるオミクロン株の感染者数は12月20日時点で748人となり、数日間で急増している。

(山崎あき)

(フランス)

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