在カナダ日系企業の黒字見込みは7割近くに回復、2021年度カナダ進出日系企業実態調査

(カナダ)

米州課

2021年12月17日

ジェトロは12月17日、2021年9月に実施した「2021年度海外進出日系企業実態調査(北米編)」の結果を発表した。本調査は9月8日から同月28日にかけて在カナダ日系企業181社を対象に行い、127社から有効回答を得た(有効回答率70.2%)〔11月30日には同調査の全世界編の結果を発表(2021年11月30日記事参照)〕。

在カナダ日系企業のうち、2020年に黒字を見込む企業の割合は67.5%と、前年(53.8%)から13.7ポイント増加した。リーマン・ショック直後の2010年(65.2%)を超える水準に回復したものの、新型コロナウイルスの感染拡大前である2019年の水準(77.1%)は下回った。景況感を示すDI(注)は15.8となり、前年や2019年(それぞれマイナス39.7、マイナス2.1)を超えている。

今後1~2年の事業拡大を検討する企業は38.6%となり、「新型コロナ禍」前の2019年(35.6%)の水準を上回った。産業別で見ると、製造業は40.7%と前回(28.8%)から11.9ポイント、非製造業は37.0%で前回(30.7%)から6.3ポイント、それぞれ増加している。拡大する理由としては、「現地市場での売上増加」(77.6%)を最も多くの企業が挙げ、「成長性、潜在力の高さ」(30.6%)、「輸出拡大による売上増加」(24.5%)が続いた。

事業戦略の見直しについて聞いた設問では、販売戦略の見直しを予定する割合は27.8%で、「販売価格の引き上げ」(51.4%)が上位になった。調達の見直しを予定する企業は17.6%で、「調達先の見直し」(86.4%)や「複数調達化の実施」(59.1%)で上位になった。

経営上の課題としては、「新規顧客の開拓」(51.6%)を過半の企業が選択し、筆頭要因となっている。また「物流コストの上昇」(50.0%)、「調達コストの上昇」(46.0%)と、サプライチェーン上の問題を挙げる企業が多かった。

(注)Diffusion Indexの略で、営業利益が前年比で「改善」する企業の割合から「悪化」する企業の割合を差し引いた数値。

(滝本慎一郎)

(カナダ)

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