外資規制の特例措置を2022年末まで延長

(フランス)

パリ発

2021年12月01日

フランスのブリュノ・ルメール経済・財務・復興相は11月29日、国営テレビ局フランス2のインタビュー外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、外資規制の特例措置を2022年12月末まで延長すると発表した。政府は2020年7月に、新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済危機に対応するため、同年12月末までの期限付きで、外国からの直接投資における事前届け出の基準となる外国企業が所有する議決権の比率を25%から10%に引き下げた。その後、同年12月に同措置を2021年12月末まで継続する旨発表していた(2020年12月23日記事参照)。

同相は特例措置の延長について、バイオテクノロジー、通信ネットワーク、食品など戦略セクターにおける革新的な企業を、外国企業による買収から引き続き守る必要があると説明した。とりわけバイオテクノロジー分野では、スタートアップ企業を中心に外資による買収の動きが活発で、経済・財務・復興省によれば、2020年4月以降、事前審査件数はほぼ倍増した。

特例措置の対象となるのはこれまでどおり、欧州経済領域(EEA:EU27カ国、ノルウェー、アイスランド、リヒテンシュタイン)外の上場企業による買収案件に限定される。外資規制の指定業種で議決権が10%を超える買収を計画する外国企業は、経済・財務・復興省財務総局に事前に届け出る必要があり、経済・財務・復興相が10日以内に当該案件が外資規制の審査の対象となるか否かを決定する。

財務総局の発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによれば、2020年は前年を59件上回る275件の買収案件が外資規制に関わる事前審査の対象となった。このうち、国防・安全保障に関わる案件が49.5%とほぼ半数を占めた。本措置に関連し、政府は2020年12月、米国産業機器テレダインによる赤外線暗視スコープ製造フォトニクスの買収計画を却下した。また、2021年1月には、食品小売りカルフールとカナダ同業クシュタールの合併計画について、ルメール経済・財務・復興相が食料の安全保障と国内雇用確保の観点から反対する意向を表明し、事前申請の前に計画が立ち消えになった。

(山崎あき)

(フランス)

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