インドネシア発フードテックスタートアップ、東南アジアへ展開

(インドネシア、シンガポール、マレーシア、フィリピン、日本)

ジャカルタ発

2021年12月08日

ジェトロは11月30日、大豆などを原料とするプラントベースのステーキや鶏肉(代替肉)を開発・販売するインドネシア発のフードテックスタートアップ、グリーン・レーベル外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの最高経営責任者(CEO)・ファウンダーのヘルガ・アンジェリナ氏にヒアリングを行った。インドネシアでは特に若者の間で、フレキシタリアン(注)な生活や、環境の持続可能性に対する意識が高まりつつある(2021年5月31日記事参照)。

写真 グリーン・レーベル共同創始者のヘルガ・アンジェリナ氏(右)、マックス・マンディス氏(左)(同社提供)

グリーン・レーベル共同創始者のヘルガ・アンジェリナ氏(右)、マックス・マンディス氏(左)(同社提供)

(問)どのようなビジネスを展開しているのか。

(答)2013年に、ビーガン向けに代替肉を使ったメニューを提供するレストラン、バーグリーン外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを開店した。現在は、ジャカルタを中心に15店舗を展開している。主要顧客は25~45歳の女性だが、男性客も増えている。2020年には、ジャカルタ近郊の工業団地に工場を設立し、生産体制を拡充した。同年、グリーン・レーベルを立ち上げ、代替肉を使ったチキンサテ(インドネシア風焼き鳥)、ルンダン(牛肉などの塊肉をココナッツミルクと香辛料で長時間煮込んだ肉料理)などをジャカルタ、バンドゥン、バリなど大都市を中心に一般消費者に販売するとともに、レストランと提携し代替肉を使ったメニューを提案している。具体的には、スターバックス、ドミノピザ、キムカツなどで代替肉が利用されている。

(問)他社と比較した際の貴社の特徴は何か。

(答)代替肉を提供する世界的な企業として、インポッシブル・フーズ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(米国)やビヨンド・ミート外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(米国)などがある。違いは、代替肉の「食感」にあり、アジアで最初に塊肉のステーキを開発した。また、他社は西洋料理を中心にメニュー開発を行う中、当社はアジア料理に重点を置いている。

(問)資金調達の状況について。

(答)2021年初頭、米国とシンガポールのベンチャーキャピタルから、シードファンディングとして200万ドルの資金調達に成功した。これを活用し、12月にはシンガポール、2022年1月にはマレーシアとフィリピンに商品を輸出の予定。2022年後半には日本にも進出予定で、パートナー候補を探している。

(問)市場開拓に際しての課題は。

(答)プラントベースの食事がどのように環境や健康に良いか、より多くの人々に知ってもらう「マーケット教育」に今後は力を入れたい。価格面は工場設立によるスケールメリットを生かし、競争力をつけている。

写真 店舗で提供される、代替肉を利用したサンドイッチ(ジェトロ撮影)

店舗で提供される、代替肉を利用したサンドイッチ(ジェトロ撮影)

(注)フレキシブル=柔軟性、ベジタリアン=菜食主義の2つを組み合わせた造語。「野菜中心の食生活を送りつつ、肉や魚などの動物性食品も排除せず、バランスよく取り入れる」という柔軟な食生活をおくること、を意味する。

(上野渉、シファ・ファウジア)

(インドネシア、シンガポール、マレーシア、フィリピン、日本)

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