ドイツ産業連盟、「新宇宙」分野関連のイニシアチブを発足

(ドイツ)

ミュンヘン発

2021年12月13日

宇宙産業の競争力強化のためのイニシアチブが12月1日、ドイツ産業連盟(BDI)が主導して発足した。名称は「新宇宙イニシアチブ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」(New-Space-Initiative)で、大企業、スタートアップ企業、業界団体など33社・団体が発足メンバーとなった。「新宇宙」(New Space)とは、政府以外の民間企業による宇宙活動、および、宇宙関連企業と既存産業との協業を指すビジネスモデルの概念。BDIによると、既に新宇宙関連企業の76%には他産業の顧客がいて、その傾向は上昇しているという。

例えば、衛星が捉えた地球上のデータは、物流、インフラ監視、自動運転、スマート農業など多くの産業分野で活用が見込める。また、衛星を通じて、森林火災や津波など地球上の災害を早期に検知できるほか、地球温暖化防止の観点からも、衛星を通じて得たデータが活用できる。衛星への需要はさらに高まると予想され、経済・エネルギー省は2021年9月、2020~2030年に1万5,000を超える衛星がドイツ国内で打ち上げられ、うち9割が小型衛星になると発表している。ドイツでも、小型衛星を打ち上げるための小型宇宙ロケット(マイクロランチャー)のスタートアップ企業が続々と生まれている(2021年5月13日記事参照)。

本イニシアチブは、宇宙関連企業とデータを実際に活用する企業が協力を進め、ドイツの競争力を維持・拡大することを目指したもの。発足メンバーには、エアバス、OHBなどの航空宇宙関連企業大手のほか、衛星技術関連企業、マイクロランチャーのスタートアップ企業などが名を連ねた。また、衛星データを活用する側の企業として、森林火災の発生をモニタリングするオーロラテック外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(OroraTech)、地表の温度に関するデータを集計・提供するコンステラ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(ConstellR)などのスタートアップ企業も参加している。さらには、機械製造のフォイト(Voith)、ソフトウエアのSAP、保険大手のミュンヘン再保険に加え、ドイツ自動車産業連合会(VDA)、ドイツ電気・電子工業連盟(ZVEI)などの業界団体も参画している(発足メンバーはウェブサイトで確認可能外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

ドイツ航空宇宙工業会(BDLI)によると、2020年のドイツの宇宙産業の売上高は約23億ユーロで、従業員数は約9,600人となっている。

(クラウディア・フェンデル、高塚一)

(ドイツ)

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