米国務長官、インドネシアとマレーシア訪問、インド太平洋の重要性強調

(インドネシア、マレーシア、米国)

ジャカルタ発

2021年12月24日

米国のアントニー・ブリンケン国務長官は12月13日から3日間の日程で、インドネシア、マレーシアを歴訪した。当初はタイも訪問する予定だったが、随行者に新型コロナウイルス感染者が出たため、同国への訪問は急きょ中止となった。

ブリンケン国務長官は13日、インドネシアのジョコ・ウィドド大統領と面談を行い、両国間の戦略的パートナーシップの重要性を確認したほか、国務長官はASEAN独自のインド太平洋構想である「ASEAN Outlook on the Indo-Pacific(AOIP)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」(2019年6月28日記事参照)に対する米国の支持を強調した(米国務省プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。15日にはマレーシアを訪問した。サイフディン・アブドゥラー外相との会談後の共同記者会見では、ミャンマーの直近の状況が、国軍が権力を掌握した2021年2月以降、状況が悪化し続けていると指摘。その上で、追加的な措置を取ることが重要という認識を示した(「チャンネル・ニュース・アジア」12月15日)。

米国のインド太平洋戦略について演説

ブリンケン長官は14日、ジャカルタ郊外のインドネシア大学で「自由で開かれたインド太平洋」に関する演説外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを行い、同地域に関する米国の姿勢として、以下の5点を「重要な要素」として挙げた。

  1. 「自由で開かれたインド太平洋」の進展:言論の自由や国民の権利を尊重する重要性を指摘。ミャンマー国軍に対し、自国民への暴力行為をやめるよう継続して働きかけることに言及。「法に基づく統治」の重要性を指摘しつつ、目的は特定の国を非難するためではなく、同地域の国が自ら道を選択できるようにすることだと指摘。そうした観点から、中国政府による南シナ海での領有権の主張などを懸念。
  2. インド太平洋地域の内外とより強固な関係の構築:数カ月以内にASEANの首脳を米国に招待し、首脳会合を実施することを言及。
  3. 地域大の繁栄の促進:インフラギャップの縮小について言及。貿易やデジタル経済、サプライチェーンなどの内容を含む「包括的インド太平洋経済フレームワーク」構想にも言及。
  4. より強靭(きょうじん)なインド太平洋の建設:新型コロナウイルスワクチンのさらなる提供や、気候変動イニシアチブ(U.S.-ASEAN Climate Futures)を通した同地域への気候変動問題へのコミットメントを表明。
  5. インド太平洋の安全保障強化:朝鮮半島の非核化を含めた同地域の平和維持の重要性に言及。

(上野渉)

(インドネシア、マレーシア、米国)

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