エネルギー会社EnBW、フランクフルト空港と洋上風力電力の長期供給契約を締結

(ドイツ)

ミュンヘン発

2021年12月21日

ドイツ南西部バーデン・ビュルテンベルク州に本社があるエネルギー会社EnBWは12月10日、フランクフルト空港の運営会社フラポート(Fraport)と、洋上風力発電による電力供給に関する長期契約の締結を発表した(EnBWプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

契約では、2026年下期から15年間、EnBWが建設予定の北海の洋上風力発電施設「He Dreiht」から年間85メガワット(MW)を供給する。フラポートは、調達した電気をフランクフルト空港のターミナル、運営施設、滑走路、飛行機などに利用する。今回の契約により、年間最大8万トンの二酸化炭素削減が可能になるという。フラポートは2045年までに、同空港を炭素中立で運営することを目指している。

「He Dreiht」の年間発電量は900MWの予定で、2025年に運営開始の見込み。最終的な建設判断は2023年に行う予定。15MW級の風車を含む約60基の風車を設置予定で、欧州最大級の洋上風力発電プロジェクトだ。

両社の契約は、「コーポレートPPA(Corporate Power Purchase Agreement)」と呼ばれるもの。エネルギー会社などと民間企業が直接、長期間の電力購入契約を結ぶ。気候中立を目指す企業には再生可能エネルギーによる電力の確保が必要で、その結果、コーポレートPPAによる契約事例がドイツでも増えている。

例えば、デンマークのエネルギー会社オーステッドが2025年から北海で稼働予定の洋上風力発電施設「Borkum Riffgrund3」の年間発電量は900MW。このうち、786MWは既にコーポレートPPAで供給が確保され、ドイツ企業では、化学大手BASF(2021年11月発表/186MWで25年間)、素材大手コベストロ(Covestro)(2019年12月発表/100MWで10年間)、小売り大手レーベ(REWE)(2021年9月発表/約100MWで10年間)などが契約済みだ。

2021年12月に発足したドイツの連立政権(2021年12月8日記事参照)は連立協定書の中で、再生可能エネルギー賦課金を2022年までに廃止する一方、2030年には電力需要量の80%を再生可能エネルギーで賄うとしている(2021年11月26日記事参照)。協定書には、再生可能エネルギー拡大の手段にコーポレートPPAも明記されており、今後もコーポレートPPAによる企業の再生可能エネルギー確保が進むとみられる。

(高塚一)

(ドイツ)

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