2022年APEC議長国としてテーマを発表、経済団体も活動を開始

(タイ)

バンコク発

2021年11月24日

タイのプラユット首相は11月12日、オンラインで開催された第28回APEC首脳会議に参加した(2021年11月17日記事参照)。タイは、2022年のAPEC議長国を務める。同首相は、長期的かつ持続的な成長を実現するため、経済回復を加速させることが重要と述べ、以下の3つの優先分野の実現を強調した。

  • 安全かつシームレスな方法で、地域を再び接続する。
  • アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)構想の実現に向けて、自由で開かれた貿易・投資の推進、ルールに基づいた多国間貿易システムの強化、地域経済統合の深化を率先して行い、貿易投資を活性化する。
  • 持続可能でバランスのとれた包括的・長期的な成長を確保するため、APEC経済の活性化を図る。タイは、バイオ循環型グリーン(BCG)経済モデルに関するアイデアを共有する。

プラユット首相は11月13日、APEC議長国を引き継ぐことを政府として正式に表明した。2022年のAPECは、タイがポスト・コロナの復興に向けて活動を再開する重要な機会であり、各国・地域の指導者やビジネスパーソン、国際的メディアなどを、年間を通じて受け入れる用意があるとした。最初の会合は2021年12月1~3日にプーケットで開催する予定で、2022年中にはタイ全土で100以上の関連会合が開催される。

タイは、2022年APECのテーマを「オープン、コネクト、バランス」とし、持続可能で包括的な成長の促進、貿易・投資の円滑化、接続性の回復(特に旅行や観光)の3点に焦点を当てる。また、包括的・持続的な成長を目指す上で、デジタル技術やイノベーション促進、中小企業の資金調達改善、経済システムにおける女性の地位向上、持続可能な観光の促進などといったテーマを取り上げる考えだ。その一環として、BCG経済などもアピールしていく。

商務省貿易交渉局(DTN)のオーラモン局長は11月15日、DTNがAPECの中心的な調整役となり、2022年5月に予定される貿易担当相会合(MRT)や、同年11月に開催する2つの大型シンポジウムなどを運営していくことを明らかにした。MRTでは、ポスト・コロナの経済回復のほか、「ボゴール目標」や「プトラジャヤ・ビジョン2040」に沿ったFTAAPの設立やBCG経済の採用を呼び掛けていくという。

民間経済団体も活動を始めており、APECビジネスカウンシル(ABAC)は11月17日、2022年のテーマを「エンブレース、エンゲージ、イネイブル」とすることを明らかにした。タイ商業・工業・金融合同常任委員会(JSCCIB)のメンバーが作業部会を組成し、イベントなどを開催していく。ABACタイは、11月18日に開催したデジタル貿易シンポジウムを皮切りに、2022年中に4回のABAC会議を実施するほか、同年10~11月にはAPEC・CEOサミットをハイライトとして開催する予定だ。

(北見創、シリンポーン・パックピンペット)

(タイ)

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