10月の自動車市場、半導体不足緩和で回復トレンドが鮮明に

(中国)

上海発

2021年11月16日

中国自動車工業協会(CAAM)が11月10日に発表した10月の自動車販売台数は前年同月比9.4%減の233万3,000台(添付資料図参照)、生産台数は同8.8%減の233万台で、いずれも前年同月比6カ月連続の減少だった。ただし、前月比では生産・販売ともに2カ月連続で2桁増となっており、例年同様、年後半に向けて生産・販売とも増加していく傾向となりつつある。

10月の自動車市場について、CAAMは「自動車生産・販売の落ち込み幅は、乗用車に牽引されて大幅に縮小した。車載半導体の供給不足は9月に比べて若干緩和したものの、生産ニーズを十分に満たすには至っていない。自動車生産と販売は大きなプレッシャーにさらされているが、新エネルギー車の生産・販売は月間40万台近いレベルにあり、生産販売台数の記録を更新するなど明るい材料もある」と説明した。

自動車販売台数の内訳は、乗用車が前年同月比5.0%減の200万7,000台、商用車が29.7%減の32万6,000台だった。

新エネルギー車は2.3倍の38万3,000台となり、3カ月連続で30万台を超え、10月も過去最多を更新した。新エネルギー車の1~10月の累計販売台数は2.8倍の254万2,000台となり、自動車販売台数の全体に占める割合は12.1%に達した。

2021年第4四半期(10~12月)の自動車市場の見通しに関して、CAAMは「車載半導体不足は段階的に緩和し、月次の生産・販売は増加が見込まれる。しかし、依然として(半導体は)全体的な供給不足の状況にあるほか、一部地域での電力制限、中国国内各地での新型コロナウイルス感染の散発的な発生もあり、潜在的なサプライチェーン断絶のリスクは高まっている。電気料金の上昇と原材料価格の高止まりは企業のコスト圧力を増加させる。これらの要因から、2021年通年の自動車の生産・販売台数は前年をわずかに上回るが、当初の予想(2021年1月27日記事参照)は下回る」とした。

2022年の乗用車販売台数について、乗用車市場信息聯席会(CPCA)は11月8日、「従来型内燃車の販売台数は横ばいだが、新エネルギー車は100万台程度増加し、乗用車販売を押し上げる原動力となる。乗用車市場全体としては、前年比5%程度の増加が見込まれる」とした。

(高橋大輔)

(中国)

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