世界銀行は2021/2022年度のバングラデシュの成長率を6.4%と予測

(バングラデシュ)

ダッカ発

2021年11月10日

世界銀行は10月6日、2021/2022年度(2021年7月~2022年6月)のバングラデシュの実質GDP成長率を6.4%と予測した結果を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。2021年6月に発表された同調査から1.3ポイント上方修正された。要因としては、輸出が持ち直している(2021年10月21日記事参照)ことが大きい。2021年10月単月の輸出額は47億2,753万ドル(前年同月比60.4%増)となり、過去最高額を記録した。主要輸出品の衣料品については、関係業界関係者によると、直近では輸送費の上昇に加え、綿花や糸値の高騰もみられ、コスト高傾向にあるという。

バングラデシュのマクロ経済を支える郷里送金については、2021/2022年度に入り、足元では過去最高額(247億ドル)を記録した前年度を下回る傾向が続いている。単月でみると、前年度はおおむね20億ドルの高水準を維持していたものの、2021年7月は18億7,149万ドルと、過去最高額を記録した前年同月(25億9,821万ドル)との比較では28%減となった。8月から10月にかけても前年同月を下回り、10月は21.7%減の16億4,687万ドルに減少している(添付資料表1参照)。郷里送金額の減少の背景として、銀行経由の公式な送金銀行経由を受け取る際の為替レート(1ドル=84.7タカ)よりも統計に反映されない違法な送金(注1)を受け取る際の為替レート(1ドル=90タカ程度)が有利なため、後者に資金が流れていることがあることを指摘する報道がみられる。

一方、海外雇用省の統計外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、2021年(1~9月)の出稼ぎ労働者の派遣者数は約38万人に達しており、既に前年の派遣者数(約21万人)を超えている。国別では、サウジアラビアへの派遣者数が最も増加している。なお、外貨準備高は2021年9月末時点で輸入額の約11.4カ月分(注2)に相当する約462億ドルと、高水準を維持している(添付資料表2参照)。

世界銀行の調査によると、ブータン(成長率:3.6%予想)、パキスタン(3.4%予想)を除く南西アジア諸国とは会計年度の期間が異なるため、直接の比較はできないものの、バングラデシュは南西アジアの中でも堅調な経済成長が予想されている。同調査において南アジア全体では、2022年(1~12月)は7.1%の成長が見込まれる一方で、経済回復は国・セクターによってばらつきがあると指摘されている。輸出とならびバングラデシュの経済を支える郷里送金は、政府の外貨獲得源としても重要で、引き続き今後の動向を注視する必要がありそうだ。

(注1)「カーブ・マーケット(Kerb Market)」や「地下送金」と呼ばれる。

(注2)輸入額は2019/2020年度の輸入額確定値から算出。

(山田和則、安藤裕二)

(バングラデシュ)

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