EU理事会、入域制限解除国リストからシンガポール、ウクライナを除外

(EU)

ブリュッセル発

2021年11月10日

EU理事会(閣僚理事会)は11月9日、新型コロナウイルス対策に伴うEU加盟国と欧州自由貿易連合(EFTA)加盟国(注)以外の国・地域からの不要不急の入域制限措置の解除に関する、2020年6月30日付理事会勧告(2020年7月1日記事参照)の対象国・地域リストを見直す勧告を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。今回の勧告では、シンガポールとウクライナをリストから除外した。

シンガポールは2020年10月22日の見直しでリスト対象国となり、約1年ぶりに対象から外れたかたちとなった。ウクライナは2021年7月15日の見直しで初めてリスト対象国となっていた。今回の勧告によりリストに追加された国はなかった。EU理事会は、各国の疫学的な状況などを考慮して原則として2週間ごとに対象国・地域リストを見直している。前回は10月29日に改定しており(2021年11月1日記事参照)、ウクライナで深刻な感染拡大が報告される(2021年11月4日記事参照)など状況の変化も反映して、今回、過去の見直しと比較しても短い間隔での改定となった。

EUは現在、EU理事会が勧告する入域制限解除国・地域からの入域を除き、原則として域外からの不要不急の入域に対し制限を行うよう加盟国に求めている。しかし、EU理事会の勧告には法的拘束力はなく、加盟国は勧告を考慮して、不要不急の入国を認める域外国についてそれぞれあらためて判断することになる。ただし、EUは2021年5月20日付理事会勧告(2021年5月21日記事参照)で、例外的にワクチン接種完了者に対する不要不急の入域制限を原則撤廃する方針を決定しており、加盟国はワクチン接種完了者に対して、対象国・地域リストに不掲載の国・地域からの不要不急の入国であっても制限の適用外とすることができる。なお、入域制限解除国・地域からの入域についても、加盟国によってはPCR検査結果の陰性証明の提出や自主隔離の実施などの条件(2021年2月3日記事参照)を満たすことが必要になる場合がある。

今回のEU理事会の勧告に基づく11月9日以降の不要不急の入域制限解除国・地域はアルゼンチン、オーストラリア、バーレーン、カナダ、チリ、コロンビア、ヨルダン、クウェート、ナミビア、ニュージーランド、ペルー、カタール、ルワンダ、サウジアラビア、韓国、アラブ首長国連邦(UAE)、ウルグアイ、中国、香港、マカオ、台湾。ただし、中国はEUとの相互主義に基づく措置を取ることを条件とする。

(注)アイルランドを除くEU加盟国と、シェンゲン協定に加盟するアイスランド、ノルウェー、リヒテンシュタイン、スイスが勧告の対象。本勧告で、アンドラ、モナコ、サンマリノ、バチカン市国の居住者はEU居住者と見なされる。

(安田啓)

(EU)

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